イオンも逃げ出す「OKストア」の半端ない集客力

2018.07.09
 

創業者は、経済人一家の三男

オーケーの歴史を紐解くと、第1号店は1958年6月板橋区上板橋にオープン。創業者の飯田勧会長(当時、社長)がアメリカの雑誌で「アメリカではスーパーが花盛り」という記事を読んだのがきっかけで、将来性のある事業と見てスーパーを始めることにしたという。

飯田氏は明治17年創業の日本橋馬喰町の老舗酒類・食品卸、岡永商店(現・岡永)の2代目、飯田紋治郎氏の三男。ちなみに長男の飯田博氏が岡永を継ぎ、次男の飯田保氏は居酒屋「天狗」チェーンなどを展開するテンアライド創業者、末男の飯田亮氏がセコムを創業した。いずれも経済人として活躍する商才に長けた飯田4兄弟としても知られている

岡永商店の小売部門として創業したが、67年9月に分離独立。資本金7000万円で株式会社オーケーが設立された。現在の資本金は28億6882万円にまで増資されている。

86年頃、飯田氏は定価100円の商品が売場で98円で売られているのを見て、たいして安いわけでもなく基本方針の「高品質・お買徳」がお題目になっていることを反省。以降、基本方針に「Everyday Low Price」を加えて、コンセプトを「高品質・Everyday Low Price」に集約した。ここから経営改革が始まった

なぜ「Everyday Low Price」が実現できるのか?

「Everyday Low Price」はアメリカの世界最大の小売業「ウォルマート」をほうふつさせるが、「ウォルマート」のように中国など人件費の安い外国で製造したプライベートブランドを中心に販売して価格破壊をするのではなくて、信頼できる高品質のナショナルブランドをどこよりも安く売る戦略が特徴だ。

特売をなくすために、商品の品質・売価を吟味し、品種を思い切って絞り込み、普段の売価を競合店の特売価格に負けない価格に引き下げる改革に取り組んだ。商品の絞り込みにあたっては、あえて価格交渉力が強いトップブランドを外すケースも見受けられる。そうしてトップブランドにも負けない良品を厳選して大量に仕入れることで、コストダウン。地域で一番の安価を実現してきた。

一方で、生鮮品、牛乳・豆腐などの日配品は高品質、美味しさ、鮮度をまず吟味した上で、安さを追求。産地の状況などを正確に伝える「オネスト(正直)カード」を導入して旬、値上げ・値下げなど、顧客への告知を徹底している。

たとえば野菜はどうしても、気象条件によって品薄になり高騰するケースが出てくる。なぜその値段で売るのかを明確に伝え、場合によっては他の商品で代替することを勧める。消費者の立場に寄り添ってそこまで踏み込んでいる

オーケーでは、基本方針に基づき「部門ごと」に商品の見直しを行っており、以下にその一例を紹介したい。

青果は従来の市場内流通に加え、産直などの新たな流通の仕組みづくりを進めている。

精肉は強化してきた国産豚、黒毛和牛に加え、輸入牛国産鶏などについても差別化の取り組みを進めている。

水産では、超低温冷凍本鮪を新たな名物に育てる方針。-50℃の専用冷凍船及び冷凍庫で冷凍本鮪を運び、-60℃の専用冷凍庫で保管する。超低温での温度管理を徹底するため、解凍時にはまさに獲れ立ての美味しさが味わえる。18年6月現在、99店に導入されている。

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