Dさんとオウム真理教
そんなDさんはある日、私にこんなことをいいました。
「最近、僕はオウム真理教の通訳をしているんだ。たくさんお金をくれる」
私は驚いて、「ええ、なんで?」と聞きました。すると、とても興味深いことをいったのです。
「母親が病気になって、長い間治らなかった。ところが、麻原のラジオを聞きはじめたら、治っちゃたんだ」
そう、当時オウム真理教は、ロシアでラジオ放送をしていたのです。私は、Dさんの未来が不安になりました。しかし、どうすることができたでしょうか? 当時、ロシアはアナーキーで、誰も明るい未来を描くことができなかったのですから。その後、Dさんは私の前から消えました。今、彼が生きているのか死んでいるのかもわかりません。
オウム真理教は、「ロシアから武器を購入していた」といいます。Dさんは関わっていたのでしょうか。少なくとも通訳をしていた可能性は高い気がします。
終わらない問題
ロシアは、その後どうなったのでしょうか?
結局、伝統宗教であるロシア正教、イスラム教、チベット仏教が大復活し、新興宗教を駆逐していきました。プーチン政権は、伝統宗教を支援することで、ソ連崩壊後の思想の混乱を終わらせたのです。
ロシアで、オウム真理教は禁止です。地下鉄サリン事件が起こった日本では、「アーレフ」と名をかえ、存続していますね。日本の報道を見ると、「この問題はまだ終わっていない」というコメントがたくさんありました。そういう意見がでるのは、当然でしょう。
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