5月にエベレスト登頂に挑みながら無念の死を遂げた登山家・栗城史多さん。その無謀とも言える挑戦には、以前から批判の声も多かったようですが、彼に欠けていた最も大事なものとはなんだったのでしょうか。無料メルマガ『音多秀茂の【富と成功の5つのタネ】』の著者・音多さんは、栗城さんの件を例に、ビジネスや日常におけるリスクマネジメント力を身につける上で最も重要なことは何かについて解説しています。
【ビジネス】守破離力 ~独学は後回しで~
今日はビジネスのタネからお届けします♪
今回のテーマは「守破離力」。このテーマはかなり前にお伝えしましたが、早2年が経過してしまいました。(第784号「守破離力~素人と三流こそプロをマネろ!~ 」)。
久々にこのシリーズを書こうと思ったきっかけは、5月にエベレスト登頂に挑みながらも無念の死を遂げた登山家・栗城史多さんがきっかけです。私は彼のファンというわけではありませんが、過去に著書の『一歩を越える勇気』から何度もやる気をもらっていましたので、このニュースを聞いた時にはさすがに衝撃を受けました。
ただ一方で、彼が多くの賞賛と批判を同時に浴びるように、その行為はいつもハイリスクであった為、こうなる事はある程度予想されていました。リスクの少ない地上ならまだしも、命を奪われかねない数千メートルの山頂における破天荒さは、一線を越えた自殺行為ですから…。
そこが彼が多くの人を惹き付けた魅力でもあったわけですが、やはり命を代償にしてしまったのは間違いだと思います。個人的には彼には「守破離力」の中で一番大事な「守」が欠けていたように思います。
彼と同じようにエベレスト登頂を目指す登山家において、その生死を分けるのがリスクマネジメント力です。例えばテレビの企画で、彼のように一般的な体力しかもたない芸能人がエベレストに挑戦する企画をよく見かけます。しかし彼らの周りにはプロのスペシャリストが何人もいてリスクマネジメントをしています。番組製作上、ぎりぎりの所までは無理をするけど、最後は大きな痛手を負わない判断をします。
登山はリスクの塊りですが、リスクを過剰に想定し過ぎると一番良いのは「山に登らない事」となってしまいますから登山が成り立ちません。ですから考え方としてはまずあらゆるリスクを想定した上で、チャレンジは残しつつ、隙間を縫うように登頂の可能性を探れるのがプロです。それがリスクマネジメント力であり、それを形成するのが守破離の三段階における「守」のプロセスです。
守破離における守の重要度は8割程を占めています。これは登山に限らず、我々のビジネスや投資、習い事全般においても同じ事。とにかく何かを極めたいと思ったら、まずは基礎の型となる「守」を徹底的に繰り返し、基本を身につける。それはリスクを最小限に減らし、勝負に負ける確率を減らす作業です。
ですから自分が携わる事全てにおいて(仕事も趣味も)私的には独学はおススメしません。何故なら必ず「守」を固めるのが疎かになるからです。まずはお金がかかっても、この「守」を徹底的に教えてくれるクラブやコーチを探し基本を徹底的に教えてもらう事がプロのスキルを得る最短ルートかと思います。
とこう書いていて私も子供の教育で一考しました。夏休みに市営プールで素人の私が泳ぎを教えようと思ったんですが、それじゃ駄目ですね(笑)。ちゃんとプール教室に行かせて基本をみっちり教えてもらう事に決めました。
独学って結構危険な誘惑で自己陶酔しやすいんです。私もこれが結構好きで困っています。
ですから独学好きの人はこう考えてみましょう。何かを身に付けるにはまず徹底的にプロの下で基本を学ぶ事です。そして独学はその次のステップに楽しみとしてセットしておけばいいんですね。
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