金持ち一家ほど相続税を払わない。富裕層のバレない「逃税」の闇

 

課税水準の引き下げ」ということは、「これまで相続税がかからなかった中間層にも相続税を課すということです。当然のことながら、それほど多くの資産を持っているわけではなく、納税者は増えても、納税額はそれほど増えなかったのです。相続税の問題はそこではなかったのです。

現在の日本の相続税の最大の問題は、抜け穴が多すぎて、払うべき人がきちんと払っていないことなのです。

毎年、死亡する人の「遺産」は、年間50兆円程度だと見られています。しかし、相続税の税収というのは、この20年ほどだいたい2兆円で推移しています。つまり、日本全体の遺産に対してたった4%しか相続税が納付されていないということなのです。遺産の96%は、そのまま遺族に引き継がれているのです。

今の相続税の最高税率は55%です(6億円超の遺産をもらった場合)。

税率55%というと、遺産の半分以上を取られるわけであり、可哀そうな気がしないでもありません。が、現実は、55%の最高税率を払っている人などはほとんどいないわけです。

何十億円、何百億円の遺産をもらっているのに、様々な方法を駆使して、ほとんど税金を払っていないような人も多々いるのです。だからこそ、貧富の格差は深刻化しているわけであり、税収も上がらないのです。

このメルマガでも何度かご紹介したように、相続税に関しては抜け穴がたくさんあります。社団法人を使った逃税術(2017年12月16日号)生命保険を使った逃税術(2016年10月15日号)など、金持ちが相続税を逃れる術は多々あるのです。

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本当の金持ちがきちんと相続税を払っていない、だから、遺産に対してたったの4%の相続税しか徴収できていないのです。

せめて30%程度の相続税を徴収しないことには貧富の差は広がるばかりだと思われます。自分は何もしないで、何十億円、何百億円の遺産を手にするのだから、30%くらいの税金を払ってもバチは当たらないはずなのです。

この相続税の抜け穴問題が解決しない限り、日本の格差問題は深刻化するばかりと思われます。

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