不気味な傾向。日本に上陸する台風は年々大型化し、速度も遅くなっている

 

今から20年ほど前。温暖化による気候変動に関心が高まっている頃、「台風の変化」を予測する試みを世界中の気象学者たちが行いました。発生数に関しては「増える」「減る」「変わらない」と意見は分かれましたが、強さは関してはほとんどの研究者が強まる」としました。

実際、2000年後は台風が来るたびに「戦後最大級の台風接近!」というフレーズが繰り返されましたし、私自身、台風の雨雲をレーダーで見たときに、「うわぁ、こんなにきれいなスパイラルバンド見たことない!」と驚いた記憶があります。確か2004年頃だったと思います(記憶が曖昧でごめんなさい)。

スパイラルバンドとは「台風の周囲の渦巻き状の雲」のことで、この雲がかかると突然強い雨が降ります。台風の目の周りを取り囲むように、クルクルと雲ができあがるのです。

ただ、クルッと目の周りを雲が取り囲むにはよほど強い風が吹いていないと無理。半分に切れたり、バラけてしまったり、「スパイラル」というより「カンマ」型になった雲しかそれまでは見たことがありませんでした。

ところがそのとき(2004年)レーダーに映っていたのは、台風の目の周りを「クルクル」っときれいな渦巻き状になった雨雲でした。災害をもたらす危険な雲なので不謹慎ではありますが、実に美しく。一方で「台風が変ってきているというリアルを突きつけられ抱いた「恐怖感」は今も心の奥底に残っています。

最近は「気候変動はこれまでの予想をはるかに超えるレベルで、ハリケーンや台風の危険をすでに増幅させている」との意見も増えてきました。

琉球大学や名古屋大学などが、飛行機で台風の目に近づいて内部を直接観測する技術を確立したことで、進路予測の精度は最大で16%向上しました。

先人たちが台風から人々を守るために、富士山頂でレーダー観測を始めたように今後も「人を守る技術」はより詳しく、より丁寧な予測を可能にすることでしょう。

でも、それを生かすも殺すも私たち」自身です。

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※『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2018年8月8日号)より一部抜粋

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