学歴や収入よりも「幸福感」を左右する要素が判明、意外な調査結果に

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収入や学歴などよりも、「自己決定度」が幸福感に大きな影響を与えていることが、神戸大学の研究により明らかになりました。健康社会学者の河合薫さんは、自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の中でこの研究結果を詳しく紹介するとともに、誰にも忖度せず、また押し付けられもしない選択がしづらい状況に置かれている我々現代人が、自分を信じて本来の意味での「選択の自由」を取り戻せば、ギスギスした社会の空気も和らぐのではないかと記しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年9月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

選択の自由と幸福感

「所得、学歴よりも『自己決定が幸福感に強い影響を与えている」ことが神戸大学の西村和雄特命教授らが実施した、2万人に対するアンケート調査で明らかになりました。

かなり昔から所得水準と幸福度が必ずしも関係しないことは、国内外の調査で分かっていましたが、「何が」「どの程度」影響しているかは未だ明確ではありませんでした。

そこで神戸大のチームは、「所得」「学歴」「進学や就職などにおける選択の自由を示す自己決定」「健康」「人間関係」──の5項目に関する選択式の質問を設けて、統計的に分析したのです。

その結果、

  • 自己決定は健康や人間関係に次いで幸福感に影響を与えていた
  • 自己決定は所得と比較すると、約1.4倍強い影響があった
  • 学歴は統計的に有意な結果が出なかった

などがわかりました。さらに、調査では「35~40歳の幸福感が他の年齢比べて低いこともわかったそうです。

研究チームは結果について、

自己決定で進路を決定した人は、自らの判断で努力し、目的を達成する可能性が高くなる。また、成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなる。こういった達成感や自尊心が、幸福感を高めることにつながっていると考えられる。

とコメントしています。

自己決定――。すなわち「選択の自由」は、健康社会学では「裁量権」、あるいは「ローカスオブコントロール」と呼ばれています。

これは「選択の自由がある自分が思えることを意味し、どんなに選択肢があっても「正解」が暗黙裡に決められていたり、「忖度しなければならない環境」では意味をなしません。あくまでも「私が決めていい。自分に決める自由がある」と思えることが肝心なのです。

こういった感覚を持つことができると、それだけでやる気が高まります。職務満足感や人生の満足度を高め、寿命にまで影響することがこれまで多くの調査で示されてきました。

たとえば、英ロンドン大学が1967年から継続して行っている疫学研究、通称「ホワイト・ホール・スタディ」では、裁量権のあるトップは、裁量権のない一般社員と比べて死亡率が4倍も低いことがわかりました。喫煙率、高血圧、血清コレステロール値、血糖値など、寿命に影響するリスク因子のすべて加味しても、結果は変わりませんでした。

また、一説には動物園の動物の寿命が野生の動物より短いのも、「選択の自由」がないからだという指摘もあります(この件には賛否両論あり)。

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