KDDIが5GとIoTのビジネス開発拠点「DIGITAL GATE」を開設━━5Gネットワークを活かすパートナーの争奪戦が始まるか
KDDIは東京・虎ノ門に5GとIoTのビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」を開設。9月5日にはメディアに披露した。
虎ノ門に施設を作るという話は以前からしており、「どこに作るのかな」と思っていたら「虎ノ門ツインビルディング」とのこと。ここはかつて、NTTドコモが入っており、その後、イー・アクセスもオフィスにしたこともあるなど、通信業界関係者にとっては馴染みの深いビルといえる。KDDIは、富士通が入っていたフロアに施設をオープンさせたとのこと。
他キャリアは5G開始に向けて、5Gのソリューションを展示したり、実験が行える施設を相次いでオープンさせている。KDDI DIGITAL GATEが他と一線を画すのは、5GとIoTに加えて、アジャイル開発の環境や、スタートアップ支援も行っている点にあるだろう。これまで渋谷にあったKDDIムゲンラボも虎ノ門に移転している。
高橋誠社長は「これからは回線数の差で各キャリアが争うのではなく、クリエイティビティ、創造性の差になる。新しいビジネスモデルをいかに作れるか、そこにどんな価値をもたせられるかが重要になりそうだ」と語る。
その上でも、次のビジネスモデルを語れる場所を虎ノ門に設け、通信インフラだけでなく、スタートアップなどの支援も一緒に行う必要があるとしたようだ。
ここ最近、キャリア関係者に話を聞くと「5Gはこれまでの4Gのように面的にエリアを広げるのではなく、様々な企業とキャリアがパートナーとなり、その企業が必要とするエリアを5G化させていく方向性もあり得るのではないか」という声が多い。
つまり、建設工事の現場であれば、建設重機メーカーとキャリアが組み、そのエリアを5G化して、ショベルカーなどを遠隔操作できる環境を整備するというわけだ。その際の費用負担は、キャリアがすべて持つ場合もあるし、メーカーと折半、メーカーがすべて負担するなど様々だ。
各キャリアとも5Gに向けて「共創」といった言葉を使い始めているが、今後は回線数の獲得競争というよりも、いかに魅力的なパートナーを見つけ出せるかというのが重要となってきそうだ。5Gのポテンシャルを理解し、新しいビジネスモデルを一緒に作れるパートナーを他社に先駆けて見つけ出せるか、あるいは一緒にアイデアを出し合って形にできるか。
まさに5G時代は全く新しい競争軸で、キャリア間の戦いが繰り広げられそうだ。
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