「瞬足」のアキレスが目をつけた「バケツに空いた穴」とは何か

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子どもたちに大人気の「瞬足」を開発したアキレスが、大人向けのランニングシューズを手掛け話題となっています。同社のビギナーランナーの継続という「バケツに空いた穴」を埋める戦略を、無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者でMBAホルダーの青山烈士さんが詳細に分析しています。

穴の開いたバケツ

人気のランニング用シューズを分析します。

● ジュニア向け人気シューズ「瞬足」を手掛けるアキレスの大人向けランニングシューズ「メディフォーム

戦略ショートストーリー

ランニングをする方をターゲットに「独自素材」に支えられた『膝や腰の故障を未然に防ぐ』『疲れにくく楽に走れる』等の強みで差別化しています。

走りながら「リラクゼーション&リカバリー」というコンセプトのもと、素材の特徴である衝撃吸収性、反発弾性や耐久性を訴求することで、顧客の支持を得ています。

■分析のポイント

穴の開いたバケツ

ジョギングやランニングは気軽に始められる人気のスポーツですが一方で、1年以上継続できる方が少ないスポーツでもあるようです。

継続できる方が少ないということは、せっかくランニングシューズを買ってくれてもリピートしてくれる方も少ないということになります。

この状況は穴の開いたバケツのようですね。新規顧客を入れても入れても抜けていくという感じですので、もったいない気もしますが、恐らく大手メーカーにとっては、それも織り込み済みなのでしょう。

2:8の法則というものがありますが、それに照らし合わせると、大手メーカーの売上を支えているのは人数では2割程度となる優良顧客中級者上級者の方々が8割程度の売上を支えていると想定されます(ランニングブームなどで比率は多少変わると思いますが)。

ですので、大手メーカーにとってはビギナーランナーの方が、全て中級者、上級者なってくれれば理想ですが、そうはならないということを受け入れたうえでビギナーランナーの一部でも優良顧客(中級者、上級者)になってくれることを期待して新規獲得に力を入れていると思われます。

しかし、「アキレス」の場合は、新興ブランドですから、大手メーカーのような優良顧客(中級者、上級者の方々)の基盤はないですし、知名度も低い状況です。ですので、バケツに穴が開いていたら、大手メーカーとの競争の中で苦労して獲得した顧客が離れていってしまうことになりますので、早期に顧客基盤を作ることは難しくなります。

そういった状況で「アキレス」が目をつけたのが、ビギナーランナーのケガ防止です。実はビギナーランナーが走ることを続けられなくなる主な理由のひとつが「ケガ」なのです。

大手にとってビギナーランナーは離脱するということは常識だと思いますが、「アキレス」はその点をうまく突いてビギナーランナーを離脱させないという打ち手を打っているわけです。ビギナーランナーが離脱しなければビギナーランナーのリピート購入につながり、それはビギナーランナーの優良顧客化につながるわけです。

「アキレス」は速く走ることよりも、ランニングを楽しく続けてもらうことを重視することで、ビギナーランナーを惹きつけるとともに顧客流出につながる穴を塞いでいるということです。

今回の「アキレス」の事例は顧客の流出に着目し、その穴を塞ぐことで成果につなげた好事例だと思います。

「瞬足」「メディフォーム」といったヒット商品をリリースしている「アキレス」の今後に注目していきたいです。

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