ホテルと旅館の違い
ホテルと旅館の語源の違いから、比較してみましょう。「hotel」は、元は、ホモ・サピエンスのホモのホから来ています。ホは、「ho」、で古いラテン語で「人」を意味する言葉です。そこから、「hotel」は、人に関わる言葉として、変化をしてきました。
旅館は、「旅の館」ですね。「館」で私たちが想像イメージするのは、大きくて立派な家、といったところでしょう。軍事拠点としての「城」ではなく、「home」の方で、リラックスしていていい場所としての、大きな家です。「館」という漢字は、「食」と「官」の合成です。「官」という漢字は、屋根の下にお供えが置いてあるところを表しています。さらに調べると、「軍隊が長く留まるところ」という意味もあり、そこから、役所、という意味が生まれたのだそうです。戦いのために神仏に祈りを捧げたというところから、そいういう意味合いが強くなったとも考えられます。
しかし、戦いのためだけでなくても、お供えをして、神仏に祈りを捧げる、というのはありますし、また、お供えのお下がりで、皆で分かち合いの食事をする、ということも、普通にありますから、「館」には、皆で食事をする屋根のある場所というイメージが強調されます。
ホテルは泊食分離で、旅館は泊食一体というシステムが通常なのは、ざっくりとまとめると、文化習慣の違い、ということです。じゃあ、この文化習慣の違いは、どこから生まれたのか、という疑問も出てきますが、これは人類学の範疇に入るでしょうか。
私の推測では、もともと、日本のムラ社会は、ムラ自体が、1つの家族のようなもので、それが、他のムラからの客人を迎えるときに、まるで家族のように接したこと、になるのでは、とも思います。つまり。旅館では、家族のようなもてなしが行われる、ということでしょうね。
image by: EQRoy / Shutterstock.com