「貴族の生活を体験」がルーツ。フランス革命とホテルの深い関係

 

ホテルと旅館の違い

ホテルと旅館の語源の違いから、比較してみましょう。「hotel」は、元は、ホモ・サピエンスのホモのホから来ています。ホは、「ho」、で古いラテン語でを意味する言葉です。そこから、「hotel」は、人に関わる言葉として、変化をしてきました。

旅館は、「旅の館」ですね。「館」で私たちが想像イメージするのは、大きくて立派な家、といったところでしょう。軍事拠点としての「城」ではなく、「home」の方で、リラックスしていていい場所としての、大きな家です。「館」という漢字は、「食」と「官」の合成です。「という漢字は屋根の下にお供えが置いてあるところを表しています。さらに調べると、「軍隊が長く留まるところ」という意味もあり、そこから、役所、という意味が生まれたのだそうです。戦いのために神仏に祈りを捧げたというところから、そいういう意味合いが強くなったとも考えられます。

しかし、戦いのためだけでなくても、お供えをして、神仏に祈りを捧げる、というのはありますし、また、お供えのお下がりで、皆で分かち合いの食事をする、ということも、普通にありますから、「館」には、皆で食事をする屋根のある場所というイメージが強調されます。

ホテルは泊食分離で旅館は泊食一体というシステムが通常なのは、ざっくりとまとめると、文化習慣の違い、ということです。じゃあ、この文化習慣の違いは、どこから生まれたのか、という疑問も出てきますが、これは人類学の範疇に入るでしょうか。

私の推測では、もともと、日本のムラ社会は、ムラ自体が、1つの家族のようなもので、それが、他のムラからの客人を迎えるときにまるで家族のように接したこと、になるのでは、とも思います。つまり。旅館では、家族のようなもてなしが行われる、ということでしょうね。

● SIC【サクセスインサイド・コミュニケーション】

image by: EQRoy / Shutterstock.com

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ホテルや旅館など、宿泊産業界に関する、専門家視点のメールマガジンです。 創刊は2000年5月のロングセラー・メールマガジン。著者の西田淑子は、ホテルに勤務後、大学でホテル論を教えています。共著での著書も出しており、ホスピタリティから経営、マーケティングまで、幅広い知識で宿泊業界を見せて伝えます。

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【著者】 西田淑子 【発行周期】 週刊

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