ねじれた「自由の国」。新聞各紙は米中間選挙をどう捉えたか?

 

ヘイトクライムで騒然とするなか…

【東京】は1面トップに2面の解説記事「核心」、3面、6面、7面に関連記事。5面に社説。見出しから。

1面

  • トランプ共和 下院敗北
  • 「米国第一」に厳しい審判
  • 上院は維持、ねじれ議会
  • 分断社会 溝の深さ露呈

2面

  • 対外強硬策に拍車か
  • 外交 北朝鮮に譲歩の懸念
  • 貿易 日中に厳しい姿勢も
  • 日本政府 「ディール」加速警戒

3面

  • 内政運営に民主の壁
  • 下院過半数で弾劾発議権
  • 予算案、法案 成立難しく

5面

  • 国民統合の価値を悟れ(社説)

7面

  • 下院 女性最多
  • イスラム教徒、最年少、LGBT当選
  • 「トランプ氏への反発」

uttiiの眼

《東京》1面掲載の後藤孝好・アメリカ総局長のコラム。選挙結果については「民主党が下院を奪還して独善的な政治手法に待ったをかけた。民主主義が一定の修復力を示したといえる」と評価しながらも、白人層のトランプ支持も底堅く、「米国第一主義はさらに先鋭化するに違いない」と予測する。

後藤記者は選挙の周辺で起こったいくつかの事件を挙げている。 オバマ氏ら民主党有力者やCNNに爆発物が送りつけられた事件、人種差別的な言動に触発された男がシナゴーグで銃を乱射、11人を殺害した事件、ブラジルでも極右の元軍人が大統領選で勝利したこと、ドイツのメルケル首相が地方選の敗北から党首退任に追い込まれたことなど。記者は「国際社会は人々の心の奥底に潜む不満や差別意識を呼び覚ますトランプ主義の試練に向き合う覚悟が問われている」と結んでいる。

識者の意見のなかで気になったのは2点。1つは、トランプ氏が連邦最高裁判事に指名したカバノー氏に対する民主党側からの攻撃が余りに激しかったため、人工妊娠中絶や同性婚を否定するキリスト教右派を共和党支持に駆り立ててしまった(西山隆行成蹊大教授)というもの。西山教授は、民主党の選挙戦略が拙速だったと批判している。

もう1点。民主党は党内に分裂を抱えており、サンダース上院議員が影響を与えているような支持者を動員しようとすればすれほど党が左傾化してしまうという問題。そうなると、政策が「非アメリカ的」と見做される危険があり、民主党としてはジレンマを抱えながら次の大統領選に臨まなければならないという点だ(山岸敬和南山大教授)。

この2つ目の点は、主にオバマケア後の医療政策をめぐる議論を題材にしていて中央集権的な医療保険制度を提案すればすぐに「社会主義的」とレッテルを貼られてしまうことを指している。結局は、どのような主張と勢力が民主党内で主導権を握るか、という問題なのだろう。

image by: shutterstock

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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