他を凌駕するニトリのトータルコーディネート
一方、ニトリの売り場はドンキとは大きく異なる。ドンキの売り場が異端派とすれば、ニトリの売り場は正統派だ。ドンキの売り場は異端であるがゆえ、おそらく好き嫌いが大きく分かれるだろう。一方、ニトリの売り場は正統派だけあって、わかりやすい形で整然と商品が陳列されており、多くの人が好むと思われる売り場となっている。
ニトリの売り場は正統派であるがゆえに差別化が難しい。ただ、そうした中でも売り場の見せ方が上手いように思う。商品カテゴリー別で展開する売り場とトータルコーディネートで展開する売り場を適切な割合・構成で展開している。
特にトータルコーディネートで展開する売り場は競合を凌駕しているのではないか。これは、PBの割合が高いことに起因している面がある。メーカー製品の場合、コーディネートを意識せずに作られる傾向があり、そういった製品群しかない場合、統一感のあるコーディネート提案が難しい。一方、ニトリは自社企画でPBを作っており、コーディネートを意識して製品の企画と製造ができるため、統一感を持たせた製品群で売り場を構築することができ、統一感のあるコーディネート提案が可能となる。
例えば、木製の家具を多く多用したコーディネート案「ナチュラル」や、“和”の要素がある家具を多く用いた「ジャパニーズモダン」といった複数のコーディネート案をニトリは開発し、売り場などで提案している。客は示されたコーディネート案に従って商品を購入すれば、統一感のある部屋にすることができるのだ。これは、コーディネート案の開発と製品の企画・開発を自社だけでできるニトリならではといえるだろう。
ドンキとニトリはどちらも業績が好調だが、それを実現する力の源にはかなり違いがある。一方で、他社が簡単には真似できないノウハウを持っているという点では共通している。ニトリの製造物流小売業のビジネスモデルやドンキの売り場構築のノウハウは他に見ることはできず、真似することも簡単ではない。まさに「差別化」とはこれらのことを言うのだろう。これらの差別化が保たれる限り、両社の快進撃はまだまだ続きそうだ。
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