韓国でも賛否分かれる徴用工問題。現地在住日本人が見た国民感情

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日本植民地時代の強制徴用被害者が新日鉄住金に起こした損害賠償請求訴訟再上告審で、韓国大法院が出した日本企業に対し1億ウォンの支払いを命じる判決。安倍首相は「ありえない判断」としましたが、韓国国内ではどのように受け止められているのでしょうか。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年の日本人著者が現地の反応を紹介しています。

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10月30日に出された韓国・大法院(=最高裁)強制徴用賠償判決に対しては、日本は当然のことながら強い不快感を表わした。韓国側としては、同日、イ・ナギョン総理が「政府は今回の判決を尊重し、関連事項を綿密に検討する」とした韓国政府としての立場を表明している。

しかし11月1日に行なわれた文大統領の施政方針演説においてはこの問題がただの一言も言及されずに終わった。支持するでもないし否定するでもない。文在寅の方向性からすれば勿論「支持」だと思われる。が、世界からの目というものもあるから積極的に支持の表明はしないでおいているのであろう。

韓国のマスコミもそれほど積極的にこの問題を取り上げる方向性にはない。判決が下されて2週間余り、世の中挙げて日本糾弾というニュースがあんまりないように見受けられるゆえ。もう少し時間が経たないと、この問題の韓国側の立ち位置ははっきりしないものと思われる。

日本政府ならびに日本人の心情としては、1965年の請求権協定を覆す判決じゃないかと批判したい気持ちが強かろう。韓国でもそのような立場でものを言う人がいるくらいだ。「解決している問題なのになんでまた今になって蒸し返してくるのか」という人(韓国人)が実際にいるのだ。しかし一般的な韓国の人の立場としては、1965年の協定で全て解決済みと考えている人はたぶん少数派だ。

何事であれ徹底して白黒をはっきりさせるというのがこちらのスタイルだ。#MeToo問題にしても、日本での盛り上がりはそれほどでもないけど、こちら韓国は今年の1月に女性検事の#MeToo暴露を皮切りに、あとからあとから徹底して提起されてきた。

今もその動きは続いているし、それは非常にいいことだと筆者は思っている。こういう問題をうやむやにして流してしまうよりは徹底して根絶できればそれに越したことはないからだ。

この完膚なきまでたたきのめす徹底的傾向は、韓国の誇らしき特性である。一歩間違えば世の中(全世界)から総スカンをくらうものとなることも銘記すべしとは思うけれど。「少女像」ならぬ「徴用工像」の設置を考えている市民団体もある。これはやりすぎじゃないかと筆者には思われる。韓国政府がどのような扱いをしてくるか、注目せざるを得ない。

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