韓国でも賛否分かれる徴用工問題。現地在住日本人が見た国民感情

 

10月25日、板門店のJSA非武装化が完了した。JSAとは「Joint Security Area」のことで、共同警備区域と訳されている。このJSAをめぐっては、70年代の「斧・蛮行事件」を皮切りに、最近では2017年の北朝鮮軍のオ・チョンソン下士官の脱出事件など、さまざまの事件が起こっている。

「斧・蛮行事件」というのは、1976年8月18日、米軍6人と韓国軍5人が民間労働者5人とともにポプラの枝を除去する作業をしていた時北朝鮮軍の奇襲攻撃を受けた事件。この奇襲で板門店共同警備区域内のUN軍側第3警戒所付近で作業していた米軍将校2人が斧で殺害され、警備兵9人が重軽傷を負った事件である。この事件を契機として板門店共同警備区域が南と北に分かれた。このJSAが非武装化され、11月の中旬ごろからは観光客が自由に観光できる体制となる。

非核化問題は依然として進展する流れが見えてこないし、南北共同で北朝鮮の鉄道線路の点検をするという合意も現時点ではどっかに消えてしまった感が強い中、このJSAの非武装化は歴史的に見てもかなりのウエイトを占める価値を持つ。4月の南北首脳会談の後、米朝首脳会談も成功を収めるなど表面的にはエッサホイサの大繁盛みたいに見えながら、なかなか軌道に乗らない北朝鮮問題ではあるけれど、アリさんの歩みほどにはプラスの方向に進んでいると見てよいものと思われる。JSAの非武装化がその好例。

今年に入ってからの北の動きを見ていると、金正日のときとは違って金正恩になってやはりかなり変わってきたな、これまでとは違うな、と思われることも多々あったけれど、どうしてどうして、北はそんなに簡単に一筋縄ではいかないことはここへきて痛いほどわかった。でも嘘ばかりついていた金正日のときとは、やっぱりそれでも、違うことは違う(そう思いたい)。

金正恩はやると決めたことはやる男である。そのへんのところをうまく見極め、駆け引き上手に渡り合っていけば、絶対不可能と思われた南北統一も、夢のまた夢という次元の話でもなくなってくるであろう。以前にも書いた文章だけれど、宇宙船が無限遠からターゲット惑星の軌道に静かに静かに入っていくように、南と北も、無限遠から統一の軌道に知らずうちに入っているのかもしれない。

image by : Christian Ouellet / Shutterstock.com

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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