サ行のみならず、他の音韻にもそれぞれの性質があります。ひとつひとつみていきましょう。ア行はどうでしょうか。子音が付いていない、アイウエオだけの状態は、音の性質は極めて中立的です。素直で、尖っておらず、丸い印象です。
子音が音韻の性質を決定づけるわけですから、子音が付いていないア行には性格が乏しく、よって、ア行+他の音によるオノマトペはありますが、「ア行だけ」で構成されるオノマトペは、数も多くありません。ほとんど思いつきませんね…。ウオーウオー、オエオエ、エイエイオー。叫びとか、嗚咽とか…。声そのものに由来する言葉なら考えられるかもしれませんね。
カ行はどうでしょうか。カ行もサ行と同じく、空気の音ですよね。でもサ行と違って、調音点がぐっと奥のほう、奥舌と軟口蓋の隙間を狭めて、呼気で破裂させて、音を作っています。ですから、乾燥感、空気感はありつつも、空虚ではなく、ちょっと小さめの「物質感」を伴いますね。
例えば、紙や枯葉が、「カサカサ」これはまさに、カ行とサ行だけで構成されていますが、その性質は、
- 小さい
- 軽やか
- 物質
- 摩擦
- 硬質
- 空気
カ行とサ行の性質そのものを、そっくりそのまま、よく表していていますね。
このように、オノマトペを普段何気なく使っている私たちにとっては、当たりまえすぎることではあるのですが、音韻の性質が、オノマトペの性質に直結しているんですね。
つまり、ここで注意しなくてはいけないのは、「音の性質に合わないオノマトペは、相手に伝わらない、違和感を持たれる」ということでもあるわけです。
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