開戦確実か。ファーウェイCFO逮捕で引かれた世界大戦の引き金

 

戦争の時代へ

米中ハイテク戦争で、経済問題だけであれば、世界の大不況で済むが、本当の戦争に突入する可能性も出てきた。

中東では、ヒズボラは前回述べたように防空システムの完備で、戦争に勝利できると見込み、イスラエルが侵攻時に使用するレバノンへの攻撃用トンネル封鎖して、かつ、イスラエルへの攻撃準備をし始めているし、イランは、原油の輸出ができなくなったら、ホルムズ海峡を封鎖すると脅している。米国は180日の猶予を9ケ国にしているが、その後は輸入禁止である。

イランの脅しに対して、米国はアラビア海に空母を送った。ファーウェイ副社長逮捕の理由もイランとの取引での不正行為であるから、イランが絡んでいる。イラン国内にはS-300防空システムが配備されているので、米軍の戦闘機は危険な飛行になる。米空軍の威力が大きく損なわれている。シリアでのF-35の撃墜は、イランとヒズボラにイスラエル攻撃にゴーサインを出したようなものである。

一方、イスラエルでは、ネタニエフ首相が起訴されるようであり、タカ派のネタニエフ首相よりタカ派の人物が首相になる可能性が出てきた。

ロシアは、キエフにあるロシア大使館警護のために、ロシア軍を派遣するとしている。ウクライナのポロシェンコ大統領は、ロシアとの平和条約を破棄するとしているので、ここでも戦争の危険が出ている。

ロシアが中東を狙っている理由

サウジは米国からロシアに乗り換えたようである。防空システムをロシアのS-400導入に確定したようである。このため、米国は慌てて、記者暗殺を不問にして、米国製兵器の購入を要求しているが、遅かった。

なぜ、ロシアが中東に出ていくのかという疑問が出てくる。プーチン大統領は、常々ルーブルを基軸通貨の1つにすると宣言している。しかし、ロシアのGDPは、世界11位と韓国と同程度の経済規模で小さい。このため、普通に考えると間違っても基軸通貨の1つにはなれない。

ロシアは、国内の石油・ガス資源を欧州や中国、日本に送るパイプラインが張り巡らされている。それと、軍事力がすごいので、その利用で、基軸通貨を獲得することを目指している。このため、まず、シリアを助けたのである。

中東の石油取引をルーブルで行えば、基軸通貨になり、パイプラインがユーラシア大陸をすべてカバーしているので、米国など米国大陸以外には、どこにでも安価に石油と天然ガスを運べる。このため、米国に代わって中東の石油を支配したいのである。ロシア経由の方がタンカーより輸送コスト安いので、欧州はロシア産か経由の天然ガスの輸入が多い。

このため、サウジとの協調が必要である。イランともよい関係である。中東から米軍を追い出す方向で活躍して、中東の石油の仕切りをロシアが行いたいのである。

トルクメニスタンの天然ガスは、今までは全量中国に送っていたが、ロシアにも送る契約ができた。中国の価格が安くて、ロシアの価格が高いことによる。ロシアは、欧州や日本という顧客がいるので、少し高くても買えるのである。その点、中国はロシアに依存していない。自分でパイプラインを引いて、なるべく安く買い付けている。

というように、ルーブルが石油取引に必要になる時代が来るかもしれない。その時は、ドル基軸通貨の終わりで世界的な混乱が起きることになる。ユーロとルーブル、人民元が次の基軸通貨ということになる可能性もある。

print
いま読まれてます

  • 開戦確実か。ファーウェイCFO逮捕で引かれた世界大戦の引き金
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け