ニューヨーカーは何か始めるのに「めんどくさい」なんて言わない

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日本で講演をすると意外な相談を受けることがあると言うのは、米国の邦字紙「NEW YORK ビズ!」CEOでメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の著者の高橋克明さんです。長年のニューヨーク暮らしでは、ほとんど聞いたり意識したりすることのない「めんどくさい」という感覚に戸惑いながらも、「めんどうがらず」に打開策を提示してくれています。

「めんどくさい」という理由で始められない人へ

たまぁにですが、日本での講演会等で若い世代から、物事を始めるのに「めんどくさくって…」という相談を受けることもあります。本当にたまにだけど。

もう、そこまで答えてられない(笑)冷たいようだけど、そんな子には「じゃあ、始めなくていいんじゃない」としか答えられない。見捨てるわけじゃなくて、それ以外、答えようがないんですね。

仮に、僕が「頑張れよ!人生一回!もったいないじゃん!」なんて熱く語っても、絶対に変わらない。いや、その場だけは、その場の空気で、やる気になったような気にはなれるかもしれない。でも、時間が経てば、またおっくうになるはずです。

やっぱり、「ゼロから1」は、あくまで自分の中で振り絞って1歩を踏み出すしかないんです。初対面の知らないおっさん(僕)に言われても、本質は変わらない。「1以降」のアドバイスは出来ても「ゼロから」は、いくら熱い言葉をかけてみても、「×(かける)ゼロ」なんで、「ゼロ」にしかならないんですね。

でも、考えてみれば、物事を始められない理由に諸処の事情ではなく「めんどくさい」っていうのがランクインされるって、どれだけ幸せな国なんだニッポン!って思ってしまいます。

しつこく繰り返すようですが、ニューヨーカーたちは、人生がかかって国から出てきている人間が多いので「めんどくさい」なんて言ってられない。つまり「めんどくさ」がってる時点で、日本人は幸せだとも言えます。

インタビューした日米のトップ1000人の中にも、当たり前ですがひとりもいませんでした。めんどくさくて動けなかった人間で、どの業界であれ、トップに立った人間なんていないという証明でもあると思うんです(当たり前のことすぎて、書いていて恥ずかしいですが) 今回の出版に当たっても、担当者から「めんどくさくて、始められない人にも、なにかアドバイスを」と言われましたけれど、「そこはもう、僕にはわからないです」と笑いました。

そこを飛ばすと、本の売り上げにも左右されるかもしれないけれど、でも、それと同時に、そこはビジネス書や自己啓発本を読んで解消されることはないと思っています。

動けない人たちの理由が「怖いから」とか「結果をついつい考えてしまう」というならアドバイスのしようもありますが、「めんどくさい」だと、それは、まだ「本当の意味で、必要に迫られてないから」、あるいは「本当に行動したいと自分が思ってないから」だと思うから。

めんどくさい程度で、行動に移せないのなら、現状幸せに暮らせているわけで、だから「だったら、行動しなくていいんじゃない」と半分、本音で思っています。

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