なお、賃金の減額変更などについては、就業規則変更の合理性が否定されやすい。一方、懲戒処分事由や解雇事由を新たに設けたり追加するような場合には、合理性が肯定されやすい傾向があります。
懲戒処分については、そもそも、就業規則等に定めがなければ、従業員を処分することができません。それも、懲戒処分事由は「限定列挙」であるとされているので、就業規則に書かれている懲戒事由に当てはまらなければ懲戒処分できません。せっかく、会社に制定権・改定権のある就業規則なのですから、しっかり内容を吟味して、ヌケやオチのないようにしたいものです。
ちなみに、就業規則の効力が発生する要件は「周知」です。従業員が見ることができない就業規則には効力がありません。労基法で定められた「従業員代表者の意見聴取」や「労基署への届け出」については、効力の発生には関係ありません。「周知」さえされていれば、就業規則は社内ルールとしての効力が発生します。新たな年の始まりに、あるいは新たな年号の始まりに、就業規則の作成や変更・見直しを行って、新たな社内ルールのもとで会社経営・事業運営を行っていきませんか?
以上を踏まえて、改めてお聞きします。
「御社では、就業規則を有効活用していますか?」
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