輪廻転生論はそのさらに一歩上を行くわけです。今回の人生では道を踏み外して前科者になってしまったという人が、さらなる悪行を積み重ねることを抑止させるキーワードの役割を果たしているんですから。
なぜならば、輪廻転生には通常、現世での行いが来世に何らかの影響を及ぼすという教えがセットになっているからです。そうすると、悪いことをして、死んだら地獄に行くことは覚悟しても、次にまた生まれ変わった時に、このマイナスを背負って生まれるのはイヤだなという思考が立ち上がる余地があるわけですね。
生と死というのはある種のリセットのようなもので、ここで全てを清算して最初からやり直せると考えるわけですが、
■ 君は前世で犯罪をやり過ぎたから、今世は罰を背負うことになるよ
と言われたら、思惑が外れるじゃないですか。そしてそれが地獄の存在よりも強い抑止力を持つ可能性は高いんですよね。
だから私は、人間社会のためにもこの概念を広めた方が良いだろうと考えています。
別に犯罪者でなくても、自分の今の行いが来世にも反映されると思うと、背筋がピッと伸びるというか、来世には出来るだけ良い影響を伝えたいと思いますよね。ましてや悪い影響を伝えたいと思う人はいないわけでね。
で、これは私の経験上の話なんですが、冒頭の問いをする人に、
● ってことは、何かヤバいことをやってしまったか、やろうとしているんですか?
と訊くとみなさんバツの悪い顔をされるんですよね。
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