不振しまむら、頭打ちユニクロ。曲がり角のファストファッション

 

ゾゾタウンの「功罪」

衣料品のネット販売が一般的でなかった04年にスタートトゥデイ(現ZOZO)がゾゾタウンの運営を開始した。衣料品のネット通販は試着ができないという問題を抱えていたが、ゾゾタウンは返品を受け付けたりカタログ写真の見せ方を工夫したりするなどしてそういった問題を解決していった。そして「ユナイテッドアローズ」や「ナノユニバース」などの人気ブランドを誘致し若者を中心に支持を集めることができた。こうして衣料品通販サイトにおいて「ゾゾ1強」を確立することに成功している。

ゾゾタウンの躍進で恩恵を受けたのは、どちらかというとファストファッション以外のアパレルブランドの方だろう。ファストファッションは低価格のため、配送にかかるコストやゾゾに支払う手数料などを考えると、ゾゾタウンでは採算が取りにくい。そのため、ゾゾタウンに出店しないファストファッションは少なくない。現在、ユニクロやジーユー、H&M、ZARAは出店していないが、採算性を考慮した上での判断とみられる。こうしてみると、ファストファッションよりも高価格帯のブランドの方が恩恵を受けてきたといえる。

ゾゾタウンはファッションの裾野を広げるという大きな功績を挙げた。これはファストファッションにとっても悪い話ではなかった。ただ、その一方で、ファストファッション以外のブランドの低価格化を招き、それがファストファッションの脅威にもなってしまっている。

ゾゾタウンでは利用者を獲得するために頻繁にセールが行われており、それにより利用者は高価格帯のブランドを手ごろな価格で買えるようになったが、それによりファストファッションとそれ以外のブランドの価格差が縮まってしまい、ファストファッションは特に価格面における競争力を急速に失ってしまっている

こういった状況のため、ファストファッションは今、大きな転換点を迎えているといえるのではないか。こういった消費環境の変化で構造的な問題が生じてきており、その問題を解決する必要がありそうだ。

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