パクリだらけ中国の「科学強国化」で、人類は悪夢の時代を迎える

 

習近平の権力集中については、たとえば国家主席の任期制限を撤廃した2018年の全人代では、反対・棄権は5人のみで、ほぼ満場一致で決定されました。

つまり現在でも「偉大な天子」に巨大な権力を集中することが、チャイナ・ドリームとなっているということです。こうしないとこの国は安定できないのです。皇帝が現れないと天下大乱となるため、「真命天子」(真に天命を受けた天子)がこの世に現れることを望むわけです。

しかし、共産主義において、本来、皇帝は打倒すべき対象です。100年前の5月4日、いわゆる「五四運動」が起こり、これに感銘を受けた陳独秀が中国共産党を結成しました。陳独秀は、「徳先生」(民主)と「賽先生」(科学)の必要性を掲げ、儒教排除や封建制の打倒を主張していました。このように、儒教や、それによって生まれる皇帝制度と、民主や科学は相容れないものなのです。清末の戊戌維新も、皇帝制度のもと、日本の明治維新を真似て近代化を進めようとしましたが、結局、失敗に終わり、辛亥革命により清朝は滅びました。

毛沢東は批林批孔によって儒教を否定しましたが、やはり自らが絶対権力者の皇帝となったことで、科学や民主は進化しませんでした。むしろ毛沢東の号令によって行われた大躍進政策では、たった1日でそれまでの1年間の収穫が得られたといった荒唐無稽な成果の水増しが行われたことで、数千万人が餓死するという惨事を招きました。

習近平は儒教を否定するどころか、世界中に孔子学院を建てています。自らの神格化によって権力を増強させるという、毛沢東と同じ道を辿っています。そのような皇帝制度復活と科学強国の道を両立させようとしているのが習近平なのです。

しかし、党や政権にとって都合の悪い情報を統制するのが共産党です。人民に対して失敗を認められない共産党は、失敗から学ぶことができません。独裁者と反対の意見が通ることもありません。そのような国家で、科学が発展するのでしょうか

米中貿易戦争は、独裁国家と民主国家の闘い国家社会主義と資本主義の闘いという側面があります。もしも中国が科学強国になることで独裁国家が民主国家を凌駕し、国家社会主義が資本主義を超えるならば、それは人類にとっては悪夢です。

中国の科学強国化というのは、そのような壮大な実験でもあるのです。

image by: photocosmos1 / Shutterstock.com

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