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米中貿易戦争で日本への悪影響「リーマンショック以上」の根拠

経済の活況度合い把握に適するとされる、日中の「貿易統計」最新版が新聞各社で報道され、日中の輸出入が共に減少に転じたことが判明しました。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、特に「日本経済の屋台骨とも言える通信機や液晶関連の輸出減少が著しい」点に着目し、日本が破壊的打撃を負っていることを改めて自覚すべきだと警告しています。

ついに日本にも米中戦争の影響が

RPEでは、去年から「危機に備えましょう」という話をくり返ししてきました。徐々に、予想通りの展開になってきています。

米中覇権争奪戦の影響で、「中国経済がヤバくなってきている」という話しをしました。例えば、

もはやドロ船。中国から米はおろか自国企業も逃げ出し始めた
中国とは和解せず。経済戦争休戦明けの3月、トランプが下す鉄槌

それで、日本企業にも影響がではじめているという話もしました。例えば、

日本電産ショック、リーマン級の危機迫る?

そして、日本国全体の貿易にも影響が出てきたようです。まず、中国の貿易が減り始めたという話、先日しました。

中国税関総署が14日、先月の貿易統計を発表した。輸出額は2,212億ドル(約24兆円)で前年同月比4.4%減、輸入額は1,642億ドルと7.6%減った。事前の予想はいずれも増加だったが、輸出は9カ月ぶり、輸入は2年2カ月ぶりの減少で内需の減速が影響しているとみられる。
(朝日新聞DIGITAL 1月15日)

2018年12月、中国の輸出額は、前年同期比で4.4%減った。輸入額は7.6%減った。同月、日本はどうだったのでしょうか?毎日新聞1月23日付を見てみましょう。

18年12月単月の輸出は3.8%減の7兆240億円と3カ月ぶりに減少。米国向けは1.6%増、欧州連合(EU)向けは3.9%増となったが、中国向けが7%減と大きく減少したことが響いた。

日本国の輸出は12月3.8%減。対アメリカは、1.6%増。対EUは、3.9%増。対中国が7%減。対欧米はプラスなのに、対中国がマイナスなので、全体もマイナスになってしまった。いかに中国の影響が強いかということですね。

中国向けは、通信機が67.1%減、液晶関連の製造装置が34.3%減と大きく落ち込んだ。米中貿易戦争の影響が日本の輸出にも波及したとみられる。
(同上)

通信機は67.1%減!液晶関連の製造装置は34.3%減!ある業界では、米中戦争が、「破滅的悪影響」を与えていることがわかります。

中国からの輸入も6.4%減となっており、スマートフォンなど通信機器や衣料品などが減少した。
(同上)

18年12月対中輸入は、6.4%減。

これから日本経済はどうなっていくのでしょうか?

米中の貿易戦争は収束の兆しが見えず、中国の景気減速も鮮明となっている。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、「中国向け輸出がさらに落ち込めば輸出全体が低迷し、景気の足を引っ張る可能性が高い。
(同上)

同感です。世界1の経済大国と世界2位の経済大国の覇権戦争。この二国の争いは、日本にも影響を与え始めています。暗い話はしたくありませんが、これからさらに悪くなっていくことでしょう。危機に備えましょう。

image by: vector_brothers / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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