米中経済戦争は両国及び周辺の企業連携も事実上断絶させ、経済レポートでも被害拡大の様子が数値で示されているようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、経済研究所や調査会社のデータを分析。米中それぞれが相手国企業への投資を控える傾向が顕著になったとし、その影響はすでに日本にも飛び火していると記しています。
米中戦争の影響はバリバリ出ている
「覚悟せよ。中国は米懐柔のためなら手段を選ばぬことを忘れるな」で、2019年は「米中関係を軸にまわる」と書きました。しかも「米中覇権戦争」を軸に。「覚悟せよ。中国は米懐柔のためなら~」は、「大きな方向性」の話でしたが、今回は具体的な話をしましょう。
中国から逃げる企業群
「週刊エコノミスト」1月1・8日合併号に、「丸紅経済研究所」今村卓所長の記事が載っています。非常に面白い記述があったので、ご紹介します。
中国にある華南米国商工会議所の18年10月上旬の調査によれば、中国南部に進出した米国企業、その他海外企業、中国企業の計219社のうち約7割が中国への投資を見送り、生産ラインの一部か全部を中国から東南アジアなどに移転する計画を検討している。
アメリカ、その他外国企業、中国企業の7割が、対中投資を見送り、生産拠点を他国に移そうとしている。今村所長がベトナムに行ったところ、
生産拠点の移転を検討する在中国外国企業の視察が非常に多くなっている。
(同上)
と聞いたそうです。
アメリカに投資しなくなった中国
アメリカでは何が起こっているのでしょうか?
逆に米国では、中国からの直接投資が激減している。米調査会社ロジウム・グループによれば、18年上半期の中国の対米直接投資は前年同期比9割減、資産売却を含めれば純投資額は減少だ。
(同上)
前年同期比9割減!!!しかもこれ、貿易戦争が本格化する前「上半期」の話です。
米中戦争の影響は日本にも
米中戦争の影響は日本にも波及してきた。10月の日本の工作機械受注は中国向けが前年同期比37%減と極端な不振に陥り
(同上)
本ではなくメルマガですので、あっさりしていますが。今回わかったのは、
- アメリカ企業、その他外国企業、中国企業が、中国から逃げ出している
- 中国は、アメリカへの投資を止めた
- 日本にも米中戦争の影響がではじめている
でした。
「結論にいたるためのファクト少なすぎだろ!」
その通り。ですが、中国からの対米直接投資が前年同期比で9割(!)減少したというのは、【衝撃的事実】といえるのではないでしょうか?
いずれにしても、事実を集めることで、傾向が見えてきます。これからも、せっせと情報収集に励んでいきましょう。
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