人との出会いも大きかったと思います。リハビリ感覚で通い始めたセントラルスポーツからスタートして、当時はフリーウエイトが充実していたティップネスへ変わり、そこでインストラクターをしていたボディビルダーの紹介でワールドジム(後のミスターユージム)の門をくぐるのです。
現役のボディビルダー達が骨がきしむような重量を扱っているのを目の当たりにして、すべての価値観が崩壊したようなショックを受けたのです。自分が昼間生活している、ほぼすべてだと信じていた社会は何だったのだろうと…。
そこで出会った杉田会長の言葉のひとつひとつは、その後の私のバイブルと言っても過言ではありません。当時、既に40歳手前でしたが、改めて価値観を構築し直した状態です。
時期をほぼ同じくして、武藤敬司さんとも出会いました。言わずと知れたスーパースターですから、これほど親しく交友関係が築けるとは思ってもいませんでした。でも出会った当時と今と、何も変わらないのです。恐らくウマが合うというか、相性が良かったのだと思います。
ジャンルは異なれど、世界を極めたといってもいい二人に出会えたのは、私の人生にとってラッキーでもありますし財産だと思っています。でもこの出会いも、数えきれない偶然が重なって、そこにほんの少しの意思が加わったことによる奇跡なのだと思うのです。これまで無駄だと思っていたことや、意味が無いと思っていたことも含めて、すべての経験の積み重ねがその後の奇跡を引き寄せているのです。
そうやって自分を振り返ってみると、子供の頃に憧れた強いヒーロー達、ロッキーやブルースリー、タイガーマスクやアントニオ猪木といった漠然とした強さが今でも心に残っているのです。なんだか還暦手前になっても、いまだにそこに向かって夢を見続けているような気がしてきます。
夢なので、距離が遠くて目標とは言えないのですが、それはそれでひとつの原動力になっているのでしょう。目標に比べると瞬発力は少し足りないかもしれませんが、持続力では優っているかもしれません。
趣味ややりたい事を探した方がいいとアドバイスする人もいますが、私が思うに勝手に現れるまでそのままにしておけばいいのではないでしょうか。つまらないと思う事でも、本当につまらなければ止めるはずです。
やっているという事は、多少なりとも何らかしらの意味を感じていて、やがて、そんな小さな意味をもった経験が大集合してヤリガイみたいなものを見つけてくれると思います。
私も、子供の頃に夢中になった切手の収集や、土器や石器の発掘なんかも、もしかしたらこの先何らかしらの繋がりを見せてくれるのかもしれないかとって、少しワクワクしています。
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