ところで、北が核を作り、核にこだわり続ける理由を見てみたい。1950年6月25日に開戦の火ぶたが切られた「朝鮮戦争」。北朝鮮は韓国が先に攻撃をしかけてきたから攻撃したんだといい、韓国は反対に北が先に攻撃をしかけてきたから攻撃したんだという。真実は神のみぞ知るである。勿論、南の人も世界の大部分の人も皆北朝鮮から攻撃をしかけてきたと考えている。筆者もそれが事実だと思うけれど、最終的な証拠がない立場ではなんともいえないという感じもしている。
とにかく戦争ははじまった。ただちに米国を中心とするUN軍が韓国を応援するために軍を派遣する。16か国の助けが来た。日本は1945年の無条件降伏の状態でいたから、米国の軍事基地的な役割を担うこととなり、これは戦争特需(朝鮮特需)といわれるように朝鮮戦争を肥やしにして莫大な儲けをむさぼることになる。日本の経済成長はこの朝鮮特需が土台となっている。
そして1953年7月。休戦協定。調印したのは国連軍総司令官=米国陸軍大将マーク・W・クラークと、朝鮮人民軍最高司令官・朝鮮民主主義人民共和国元帥・金日成と、中国人民志願軍司令官・彭徳懐(ホートクカイ)であり、大韓民国の場合は大統領はおろか司令官すら署名していない。当事国の韓国が完全に無視された状態であった。
1953年に、戦争が終わったのではなくて休戦しただけなのだ。だから今も北朝鮮は戦争状態(戦時体制)にあるわけだ。どこと?大義としては米国と。でも現実的には韓国と戦争状態にあるわけだけれど。大義としては米国と書いたけれど、実際、米国を相手に戦っているというのが北朝鮮の立場だ。
その米国という国は、自分の気に入らない国があれば、地球の裏側まで行って戦争しかける。アフガンもつぶされた、イラクも潰された、リビアも潰された。次は北朝鮮だろう。俺たちは強いんだと見せるしかないのが北の立場だ。虫けらでも潰すようにさまざまの国を破壊してきたアメリカ。
そのアメリカに潰されないためには、核を持つしかないというのが北朝鮮の偽らざる心情だ。金正日のころから延々と核、核、核といって核製造だけに邁進してきた理由はこういうところにあるわけだ。北朝鮮の立場に立って考えれば、核もいたしかたなし、という気もする。この伝家の宝刀である核をなくせと今アメリカが言っている。核だけじゃなくて、全ての生物化学兵器やICBMなども。どうするんだろう。
反原発の先頭に立っている原子炉や原爆の専門家である小出裕章さんは、北朝鮮はいまだにまともな原爆や水爆はもっていないはずだ、と、どこかで言っていた。核実験はやっているから、なにがしかのものは持っているはずだけれど、広島や長崎型のまともな核爆弾はもっていないということなのだろうか。いずれにしても、今後数週間の北朝鮮の動きから目を離せない状況ではある。
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