「教えることは二度学ぶこと」とはフランス哲学者シューベールの名言ですが、自らの知識・経験を他人に教える時に、自分がいかに分かったつもりだったかを思い知らされることはよくあります。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では著者で現役弁護士の谷原誠さんが、「より理解を深め記憶に刻み込む」ための勉強法として、「他人に教えるつもりで学ぶ」ことを提唱しています。
他人に教えるために勉強する
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
学校に通っている時も、社会に出てからも、ずっと勉強が必要です。私は弁護士なので、新しい法律ができたり、法律改正があったりするたびに勉強をしなければなりません。また、全ての法律が頭に入っているわけではないので、普段仕事をするたびに勉強しているといってもよいでしょう。皆さんも色々な仕事をしていると思いますが、それぞれ、日々勉強しなければならないのではないでしょうか。
勉強するときには、本を読んだり、セミナーを聞いたり、色々な方法がありますが、ただ本を読むだけだと、字面を眺めているだけで頭に入ってこない、ということがあります。よく聞くことだと思いますが、勉強でかなり高い効果を上げるのが「勉強したことを他人に教える」という方法です。
私は、セミナーや研修講師を頼まれることが多いのですが、準備をする時は勉強をします。その勉強の際は、他人に教えることを前提として勉強します。
1人で学んでいるときは、多少内容を理解していなくても先に進んでしまうのですが、他人に教える以上、しっかり理解をし、記憶に定着させないといけないので、そこにとどまり、理解できるまで読み直したり、他の文献を参照したり、というようなことをします。それによって、理解が深まるとともに、記憶に定着することになります。「勉強したことを他人に教える」勉強法の効果を日々体感している、ということです。
私の事務所では、毎月勉強会をしていますが、たまに、「自分が興味のある法律を勉強し、それを30分程度で他の弁護士に教える」という勉強会を開催することがあります。これは、他の弁護士のためではなく、発表者のための勉強会です。他人に発表するために勉強するので、理解と記憶の定着が強くなる、ということを期待しているものであり、効果を上げています。
したがって、可能であれば、勉強したことを他人に教える機会を作ることをおすすめしますが、それができなければ、「読後、他人に内容を教えるつもり」で勉強することをおすすめします。本を読んだ後に、1人で受講者なしの「エアーセミナー」をやってみてもよいと思います。
工夫次第で、色々効率を上げる方法がありそうですね。
今回は、ここまでです。
image by: Shutterstock.com