マンション総会の成否が決まる、議案書作りの「大きな落とし穴」

 

で、結局、この提案を批判した新組合員の声が通ることになってしまったのです。このことが、総会後大問題になります。

3年前の総会で駐輪機の入れ替えを要望した人たちは、今総会の議案となったことで安心して、賛成の議決権行使書を提出して総会には出席していなかったのです。総会後、なぜ採決しなかったのか、3年もかかってようやく実現するはずだったの…と大問題になりました。

しかも、通常総会で採決しなかったつけは、新たに輪番で理事になって新理事に回ってきます。困った新理事からの相談で、私がこのことを知るに至りました。そのときの総会議案書を見て、私は、これじゃだめだ~と思いました。来期駐輪機の入れ替えを行うということと管理会社からの見積書しか入っていないのです。

過去の理事会議事録、広報等を見ると、3年かけて(3年もかかって)いろいろやっています。それなのに、議案書には、総会での声を受けて検討を始めたということも、実際にアンケ―トを実施したら、不便だ、危ないという声が高かったことも、いろいろな方法を提案してもらい比較検討したことも、理事会だよりで経過を報告してきたことも、何も書かれていないのです。

もし、そのことがきちんと議案書に書かれていたら、新組合員から、あのような発言は出なかったのではないでしょうか。もし、発言があっても、理事がきちんと回答することができ、自信を持って採決ができたはずです。特に、総会での組合員からの要望で検討を開始したことが、しっかり語られなかったことが、こうなってしまったことの一番の原因だと思います。

過去のいきさつや、これまでの過程は、誰もしっかり覚えていないのが当たり前と思って、すべて振り返って、議案書にきちんと記載してくださいね。特に、理事が輪番制一年交代で総会出席者が少ないと、こういうことが起こります。

実際、このとき、回答できなかった理事さんたちは、全員、3年前の総会には出席していなかったそうです。で、過去を知らない新組合員が、あの議案書を見て、いいかげんな検討で提案したのでは…と思うのも無理からぬことだと思いました。

まあ、3年前に要望した組合員の方には、総会に出席して、きちんと発言してもらいたかったな~と思いますが…。

確実なのは、少し手間はかかっても、しっかり過去を振り返って整理し、すべての重要な情報を議案書に込めるということです。そうすれば、理事も自信を持って総会に臨めるはずです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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