今回の調査担当者も「何らかの対策が必要」とお決まりの総括をしているようだが、おそらく何もできないであろう。やったとしても悉くしくじるに違いない。社会からひとたび離れてしまった人たちをお座なりの社会的施策で救えるとは到底思えないからだ。
必要なのはスクリーニングなのである。これにより「ひきこもり」の根本原因をまず類別するのである。
例えばだが、
- 生物学的問題
- 心理学的問題
- 社会学的問題
というふうなアプローチはどうだろうか。
生物学的問題というのは発達障害などに起因する「ひきこもり」のことであり、前述の病気を除いた原因の全ての根本原因たり得る。解決には精神科医や心療内科医の理解と努力が必要不可欠である。因みに発達障害の一つであるADD(注意欠陥障害)などはほとんどの場合、薬一つで健常者と変わらない生活が可能となる。
心理学的問題というのは人間関係がうまくいかなかったり、職場になじめなかった人が、それをきっかけに鬱などの適応障害となり、それがそのまま遷延化して結果「ひきこもり」となった場合である。当然ながらこれを解決するにも精神科医や心療内科医、さらにはカウンセラーなどの尽力が必要となる。
社会学的問題というのは所謂労働問題である。この場合できるのは就労支援くらいのことだろうが、労使間のマッチングに関しては特別の配慮が必要になるであろう。
一言で「ひきこもり」と言っても、事情や状況は人それぞれである。より効果的な対策を講じるためにも適切なスクリーニングをかける必要があるのではないだろうか。
とにかく一番やってはいけないのが「『ひきこもり』=現代特有の社会現象」と単純化してしまうことである。こういった態度をとる時、我々の社会はおそろしく冷淡なものと成り果ててしまうことであろう。
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