5Gは現在の通信の100倍の速度でデータをやりとりでき、車への活用など産業構造を大きく変え“新産業革命”をもたらすとみられる。それだけに5G技術と次世代無線通信規格のシェア争いにつながる基地局建設を巡って中国、アメリカ、韓国、フィンランド(ノキア)などの間で激しい競争が続いている。
通信技術の世代交代時には、過去の例をみると産業構造が変わり世界の産業勢力図も大きく変化するケースが多かった。それだけに5G技術の開発に猛進している中国は、アメリカからすると大きな脅威に映り、中国包囲網を作ろうとしているのだ。ハイテクや宇宙、次世代通信などの先端分野で力をつけている中国の争いはまさにアメリカの覇権に挑むように見え、米中の覇権争いが世界に拡散しつつあるともいえるのである。
(財界 2019年4月9日号 第492回)
※参考情報
米マサチューセッツ工科大学(MIT)は4日までに中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)との協力関係を打ち切る方針を決めたと5日付けの日経新聞にて報じられました。
4日付けの日経新聞では、米国と韓国の通信大手がそろって「世界初の商用化」を宣言する異例の事態がおきている。米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズは3日、次世代の高速通信規格「5G」に対応した携帯通信向けサービスを米2都市の一部で開始したと発表した。当初は11日に開始する計画だったが、韓国でのサービス開始に先駆けるためほぼ1週間前倒しした。
これに対し、韓国SKテレコムなど通信大手3社は4日、5Gをスマートフォン(スマホ)で使えるようにする一般者向けサービスを3日深夜に始めたと発表し韓国3社は「世界初は韓国だ」と主張している。と報じられています。
8日付けの東洋経済の記事によると東京大学は3月7日までに、通信機器の世界最大手・中国ファーウェイ(華為技術)からの資金支援について、今後は受け入れを見直す可能性があることを明かしています。
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