中国、米国どちらにつくか。5Gでも激化の覇権争いに迷える各国

shutterstock_1244119168
 

報道によると、5アイズと呼ばれる英語圏5カ国の情報機関に日本、ドイツ、フランスが協力し連携することとなりました。「サイバー攻撃に対処するため」という名目なのですが、その裏にはアメリカによる中国企業に対する企みがあるようです。ジャーナリストで数々のメディアでも活躍中の嶌信彦さんが、自身の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』でその詳細を記しています。

5アイズに加わる日独仏

英語圏5カ国(米・英・加・豪・ニュージーランド)の情報機関に日本、ドイツ、フランスが協力して連携することになった。中国などのサイバー攻撃に対し情報を共有して共同で対処するという。

アメリカは、中国企業の作った高度の通信機器には外部からの侵入が容易くできる仕掛けがあるとみている。特に競争が激しく、まもなく実用化される第5世代(5G)の移動通信システムは中国の技術が優れており、サイバー攻撃や情報を盗みとられやすいと警戒しているのだ。このためアメリカは昨年夏、中国のファーウェイ華為技術やZTE中興通訊など中国通信機器大手の製品を政府調達から排除することを決めた。

これに準じてアメリカは日本などにも中国製品を排除する方針を求め、5カ国のほか日・独・仏も交えて対応を協議している。また政府ベースだけでなく民間企業に対しても情報通信、金融、鉄道など14分野での重要インフラについてサイバー防衛の強化を求めている。

ただ、オランダやカナダは「中国の排除は必要ない」としているし、イギリス、日本、イタリアなどの民間企業はファーウェイなどと実証実験を行なっており、今後も続行するかどうか迷っているといわれている。

実は中国の5G技術は通信規格や価格などの面でアメリカより優位とみられ、中国の5Gの基地局数はアメリカの10倍以上に達し、ファーウェイは既に世界で約70カ国、150社以上と実証実験を進めているという現実があるのだ。このまま推移すると中国の5Gの契約数はアメリカの2倍以上となり世界最大になる可能性が強いとみられているのである。一旦市場を握られてしまうと抜き返すのは至難の現実になってしまうため、アメリカも必死で各国に働きかけているのだろう。

print
いま読まれてます

  • 中国、米国どちらにつくか。5Gでも激化の覇権争いに迷える各国
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け