ここにも「非正規」の影。性交渉経験なし25%報道が炙り出すもの

 

その結果、まず全体の傾向として、

  • 18~39歳の男女の未経験率は2000年前後までは低下し、その後上昇に転じていた
  • 男性では収入が低いほど未経験率が高かった
  • 未経験の男女8割に結婚願望があった

ということがわかりました。

具体的には、

  • 男性の1992年の未経験率は20%で、2015年は25.8%に増加
  • 女性の1992年の未経験率は21.7%で、2015年は24.6%に増加
  • 30代前半の男性では1987年の8.8%から2015年は12.7%に増加
  • 30代前半の女性では1987年の4.0%から2015年は8.9%に増加
  • 30代後半の男性では1992年の5.5%から2015年は9.5%に増加
  • 30代後半の女性では1992年の4.0%から2015年は8.9%に増加

さらに、10年分のデータを詳細に雇用形態別に分析したところ、

  • 25~39歳の男性では、正規雇用に比べ、非正規雇用と時短勤務の人の未経験率は3.82倍と高く、無職では7.87倍に達し、収入が低いほど未経験率が高いことがわかった

さて、いかがでしょう?こうやって具体的に見ていくと、「性交渉 経験なしが25%」という見出しより、「性交渉 経験なしは正社員の約4倍」の方がしっくりくる。

これまでも「非正規の未婚率の高さ」は何度も報じられていたので、それをさらに突っ込み、「極めてプライベートかつ人間の基本的欲求ともいえる行動が雇用形態の違いにまで影響を及ぼしている点を、もっとクローズアップして欲しかった。

そもそもなぜ、未経験率が2000年以降上昇に転じたのか?

バブル崩壊以降、日本の景気は1993年を底としてゆるやかに回復しました。その結果、1997年新卒の就職状況はいったんは持ち直します。しかし、1997年下半期から1998年にかけて大手金融機関が相次いで破綻。景気は急速に冷え込み、就職状況も最低レベルに悪化しました。

25歳~34歳の結婚適齢期の非正規雇用は、1991年は114万人(12.7%)でしたが、1996年には151万人(14.5%)に増加。2001年は241万人(17.7%)と倍増します。さらに、2000年代に入ってからは、35歳~44歳も200万人から388万人と急増しました。

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