つまるところ今回の調査は、「性交渉」という子供の出生に直接的に関係あるデータと、非正規という「企業に都合のよい雇用形態」との関連性を浮き彫りにした極めて重要な研究なのです。
国は少子化を解消する手立てとして、女性が働き続けられる環境作りに躍起になっていますが、雇用形態に違いによる「階級格差」にスポットを当てる必要があります。非正規と正社員の賃金格差が40代以上で顕著になるため、非正規社員の将来不安は半端なく高い。おまけに非正規というだけで、「正社員になれなかった人」というまなざしもあり、雇用形態の違いが今や「階級格差」です。
ところが、どうにも鈍い。うん、鈍い。同一労働同一賃金とは口ばかりで最低賃金は世界最低レベルです。確かに正社員化は進められていますが、あくまでもは20代、30代前半が中心で、それ以上の年齢は切り捨てられている。
「少子化、少子化」と騒ぎ立てる割には、本気でどうにかしたいとは考えていないのではないか。海外から「日本は真剣に少子化問題に取り組んでいない」と指摘されるように、全くといっていいほど実効性のある政策は取られていないのです。
研究チームは今回の結果を踏まえ、「雇用形態と出生率の高さについてさらに研究が必要だ」としていますが、とかく科学的根拠に基づく政策立案を模索しない日本ですから、もっともっとインパクトある結果を期待したいです。
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