ここにも「非正規」の影。性交渉経験なし25%報道が炙り出すもの

 

つまるところ今回の調査は、「性交渉という子供の出生に直接的に関係あるデータと非正規という企業に都合のよい雇用形態との関連性を浮き彫りにした極めて重要な研究なのです。

国は少子化を解消する手立てとして、女性が働き続けられる環境作りに躍起になっていますが、雇用形態に違いによる階級格差にスポットを当てる必要があります。非正規と正社員の賃金格差が40代以上で顕著になるため、非正規社員の将来不安は半端なく高い。おまけに非正規というだけで、「正社員になれなかった人」というまなざしもあり、雇用形態の違いが今や「階級格差」です。

ところが、どうにも鈍い。うん、鈍い。同一労働同一賃金とは口ばかりで最低賃金は世界最低レベルです。確かに正社員化は進められていますが、あくまでもは20代、30代前半が中心で、それ以上の年齢は切り捨てられている

「少子化、少子化」と騒ぎ立てる割には、本気でどうにかしたいとは考えていないのではないか。海外から「日本は真剣に少子化問題に取り組んでいない」と指摘されるように、全くといっていいほど実効性のある政策は取られていないのです。

研究チームは今回の結果を踏まえ、「雇用形態と出生率の高さについてさらに研究が必要だ」としていますが、とかく科学的根拠に基づく政策立案を模索しない日本ですから、もっともっとインパクトある結果を期待したいです。

みなさまもご意見、お聞かせください。

image by: Shutterstock.com

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※『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2019年4月10日号)より一部抜粋

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