「外国人向け」はいらない。訪日観光客は日本に何を求めているか

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政府は外国人誘致のために世界遺産の登録などに力を注いでいますが、外国人が日本を観光する一番の目的は違うところにあるようです。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で人気コンサルタントの佐藤きよあきさんが、外国人が望んでいる「ありのままの日本」を体験するためのさまざまなサービスを紹介するとともに、残された課題についても記しています。

外国人旅行者が興味を持つのは、“日本の日常”!

日本を訪れる外国人旅行者が急増しています。2018年は3,000万人を超えました。漫画・アニメ・コスプレなどの海外進出をはじめ、海外メディアによる、日本の伝統文化の紹介がキッカケとなって、“クール・ジャパンに興味を持つ人が増えました

他に類を見ない独自の文化は、外国人を存分に魅了しています。日本文化の象徴とも言うべき神社・仏閣なども人気がありますが、彼らがもっとも感動するのは、「ありのままの日本」なのです。すなわち、日本人の日常そのものを体験することこそが、新鮮で面白く、興味深いのです。

たとえば、外国人旅行者に人気の撮影スポットとして、「渋谷のスクランブル交差点」があります。たくさんの人びとが全方向から歩き出すのに、ほとんどぶつからずに渡り切ることに驚くのです。私たち日本人にとっては、ありきたりな光景なのですが、彼らはそんな光景ひとつにも、日本人のまわりの人への気遣いや奥深さを感じるのです。

電車を待つ時の整列した姿や道を尋ねた時の親切さ災害時の助け合いなども、日本人の素晴らしさとして捉えています。そんな日本人を生み出す、日本という国・文化に、世界中の人びとが興味を持っているのです。

外国人が見たい、知りたいのは、観光客向けに着飾った日本ではありません。素晴らしい日本人の生活そのものです。どんなところに住み、どんなものを食べ、どんなことをしているのか。

彼らのそんな要望に応えるために、さまざまなサービスが生まれています。

下町の古い民家をそのままバックパッカー用の宿泊施設として利用したり街中の和風旅館が外国人を受け入れたりしています。また、ディープな下町散策や農村を自転車で巡るツアーなども人気があります。

日本人が食べているものを知るための「外国人向けの日本料理教室」があったり、「銭湯の利用方法」という動画をユーチューブにアップしたりしています。とにかく、日本人の日常を知りたいのです。

そのためか、ふた昔前には「寿司」「天ぷら」「すき焼き」と言っていた好きな日本食も、より日常的な「回転寿司」「牛丼」「立ち食いそば・うどん」へと変わってきています。コンビニのレジ横商品も人気が高く、「唐揚げ」や「アメリカンドッグ」を買う外国人が増えています。

政府は、観光立国を目指しており、各地方も外国人客誘致のアイデアを練っています。そのため、世界遺産への登録や歴史・文化のアピールに力を注いでいますが外国人の興味はそれだけではありません。日本人が普通に生活している場面を、外国人はそのまま体験してみたいと思っているのです。

なので、外国人向けの特別なものなど何もいらないのです。日本の、日本人の、どこにでもある光景を見せてあげ、体験させてあげれば良いのです。観光資源など何もないと思っている地方でも、新たな資源を創り出す必要はなく、身のまわりにあるものを見直すことから始めれば良いのです。これは大きなチャンスです。町おこしに期待が掛かります。島国である日本は、独自文化の宝庫。観光資源においても「黄金の国・ジパング」なのです。

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