いかがわしい言い訳も。電力各社が原発テロ対策に消極的な理由

 

全国で最も早い時期に川内原発を再稼働した九州電力の担当者が読み上げた提出文書。その「まとめ」をさらに要約してみた。

本体施設等でテロ対策を含めた重大事故等対策に必要な機能を満たし、運転を継続するにあたっての安全は既に確保されている。特重施設の設計で、安全性の向上を図ってきた結果、工事は大規模かつ高難度の土木・建築工事となり、状況変化が生じている。これら状況変化を受け、対応を検討いただきたい。

提出文書は大手電力会社9社と日本原電、電源開発の名で出されており、原発を持つ電力会社の、特重施設に対する共通認識が示されているといえよう。

「本体施設でテロ対策を含めた重大事故等対策に必要な機能を既に満たしている」というのは、特重施設を別途つくる必要性を認めていないとも受け取れる。

この延長依頼にどう対応するかについて、規制委員会は4月24日に協議したが、当然のことながら委員からは厳しい声が続出した。

更田豊志委員長 「川内原発1号機は今年2月の時点で期限までに完了すると示されているし、その他の電力についても、工事計画の変更申請はなされていない。だから『状況変化』とは何ぞやということになる」

 

A委員 「状況の変化は前からわかっていること」

 

B委員 「自然災害があったわけでもなく、遅れる理由がない」

会議の結果、期限の延長には応じないことに決定し、更田委員長は会議後の会見でこう語った。

「工事が大規模になったとか、岩盤が固かったとかいうのはまっとうな状況変化と考えにくい。いったん設けた期限を、できないから延ばすということはできない」

この判断により、期限内に特重施設が完成していない場合、原発の運転がストップすることになった。

どこよりも早く期限を迎えるのは、来年3月の九電川内原発1号機と、5月の川内2号機だ。

九州電力の池辺和弘社長は4月26日の決算発表記者会見で、この決定にさっそく反応した。「(運転停止なら)電気料金の値上げは選択肢だ」。

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