日本人なら誰もが小中学校で経験する、日直や給食当番や学級会等々。子供の頃にはただの面倒なものとしか捉えられなかったこれらの「特別活動」が今、世界から注目されているそうです。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では現役教師の松尾英明さんが、仲間と協力し話し合うことで得られる「共同感覚」を育む、教育のベースとなるものとしての「特別活動」の効用を紹介しています。
エジプトで学級会
日本の「特別活動」が世界に注目されている。日直や掃除、給食当番、学級会など、日本の学校では「当たり前」に行われている活動である。これら活動がどれも世界的にはかなり珍しいことらしい。
特にエジプトでは、日本を訪問した大統領が感動し、JICAを通して導入し始めている。国家プロジェクトとしての取り組みとなっている。
● 参考:日本式教育をエジプトの子どもたちへ――健やかな発達と学力向上のカギは「特別活動」 JICA H.P
宗教観の違いを乗り越えて、その価値が保護者にも認められているというのだから、驚きである。今後、国全体に広がりを続けていくのはほぼ間違いない。
他にも、日本の教育というのは、世界の関心を集めているものが多い。掃除や道徳教育もそうなのだが、仲間と協力したり、話し合ったりする活動、というのが大きな特徴である。これらはアドラー心理学でいう「共同体感覚」を育てる教育でもある。
ここを育てる上で、学級会、特にクラス会議の手法は有効である。
「学級づくりと授業づくりは学級経営の両輪」とはよくいわれることだが、授業は教科等が多岐に渡る。算数だけ、体育だけがんばればうまくいくというものではない(一つの授業の腕が転化するという面はある)。両輪ではあるが、学級づくりは汎用性が高く即効性もある、というのが持論である。
教科の研究が重視され「特別活動」に日が当たらない時期が長らく続いていたかもしれない。しかし今の時代において、はっきり言えるのは、特別活動、特に学級づくりの手法は、全てのベースになるということ。教科研究をするなら、併せて学んで欲しいところである。
特に今の時代は、価値観の多様化が進んでいる。従来型の教師主導のみ、あるいはゆとり教育時代の自由教育主義、どちらでも立ち行かない。教師がしっかりコーディネートしながら、子どもが中心となって作り上げていく学級づくりである。
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