自公維3分の2割れの衝撃。選挙予測のプロが読む、参院選議席予測

 

自民は単独過半数も失う

以上を踏まえて、三浦予測を見ていこう。まず第1に、自民党は現在は辛うじてギリギリ維持している単独過半数122を保てず、新定数による過半数(123)を10以上も下回る111議席に留まる。そのため安倍首相は恐らく事前に「自公で過半数を上回る」という低めの目標を勝敗ラインに設定し、「負けていないと言い張るための予防線を張るだろう。

第2に、そうなると当然、改憲発議に必要な3分の2には、自公計の139だけではもちろん、維新の会・希望の党の15を加えても154で、到底届かない。つまり、安倍首相は、少なくとも次の参院選が行われる22年夏までの3年間は改憲を発議することを断念しなければならないということである。ところが安倍首相の自民党総裁3期目の任期は21年9月までなので、宿願の改憲を何としても成し遂げようとすれば総裁4選を果たさなければならない。いくら野党が力足らずで、公明党が腑抜けで、自民の他派閥が無気力であったとしても、安倍4選はあり得ないので、当面、中身が何であれ改憲の機会は消滅した

ちなみに、この自公と維新・希望とを合わせて改憲勢力」と呼ぶのが慣わしだが、公明党は、自称では「加憲勢力」で、「指一本触れるな」という頑なな護憲派ではないという意味では「改憲勢力」に入るけれども(そんなことを言えば私自身も改憲派だ!)、しかし安倍流の「9条改憲」には反対で、つまり「9条改憲勢力の範疇には入らない。そこで、維新の側からは安倍首相に対して「公明と手を切って維新と連立しよう」という悪魔のささやきが発せられるのだが(先週号掲載の日刊ゲンダイ参照)、公明を外して自民と維新で3分の2を超えるには維新が今の4倍ほども議席を伸ばさなければ計算が合わず何の現実性もない

第3に、改憲幻想が弾けてしまえば安倍首相の使い出はもうなくなるので、彼の精神的支えとなってきた櫻井よしこ始め日本会議的右翼から見離されて政権が失速していくことになろう。

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