その電話ボックス(テレフォンブース)とブース繋がりという訳でもないが、今最も不当と思えるのがATMのキャッシュサービスである。
たとえ同じ銀行のATMでも時間外なら自分の口座に自分の金を入れるのにさえ手数料を取られる。他行なら倍額である。雀の涙ほどしかない利息など一回のATM利用でパーである。それに、そもそも手数料というのは文字通り手数(手間)を掛けた側が貰うべきものなのであって、手間を掛けさせた側は本来払うのが道理であろう。
こんな状況に身を置いたことはないだろうか。ATMにて振込をしようとする。50音図から銀行名・支店名を選び、口座種別・口座番号を入力し、最後に振込金額を入力する。さらに備考欄への入力が必要な場合には難度と不安度は急上昇である。
しかも途中一度でも仕損じたら「最初から手続きをやり直して下さい」と聞えよがしに指摘され、ブース全体の晒し者にされる。これが二度もあると列の後ろの方から舌打ちが聞こえたりなどし始める。ますます焦る。事ここに至っては大手間どころか、まさに地獄の沙汰である。
散々な思いをして、やっと一仕事終えて出て来た明細を見ると、手数料648円と書かれている。貰えるのではない。払うのである。「バカな!」と叫びたくなるのは自分ばかりではないだろう。
こんな感じにイラッとした時、自分が子供の頃に貰っていたお駄賃という極めてドメスティックな報酬体系が如何に妥当であったかということが懐かしさと可笑しさとともに思い出されることがある。
もしかすると日本人は取引相手が大きくなればなるほど、その不当性に鈍感になる奇妙な社会性を持っているのかもしれない。
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