日本にいたら生涯気づかなかった「ナンパ」を語る女性への偏見

 

うちの女性社員も、街を歩けば、しょっちゅうこんな感じで声をかけられています。決して、ビジュアル系で、モテる!というタイプでなくとも、声をかけられる回数は日本にいた頃には考えられなかったほど、らしいです。「おかげで、渡米当初、ひょっとして、アタシ、モテるの?って勘違いしたわ!」とはうちのデザイナーの弁。

それでも、他の女性社員で、このナンパからゴール、つまり結婚までしたケースもありました。地下鉄で声をかけられ、前述の「ナンパ目的ではない下品な声がけ」と思い、その場は、無視。それが数時間後に、まったく違う駅でもバッタリ会ったらしく、そこでも声をかけられ「運命かも!」と思ったそうです。「ストーカーかも!」と言っときました。

この場合は、のちにご主人になる彼も、本気のナンパだったのだと思います。でも、前述の「ナンパにもならない声がけ」の最大の特徴は、日本に比べ対象年齢層のレンジの広さ、ではないでしょうか。元来アジア人が実年齢より若く見える、という特徴もあってか、知り合いの40代半ばの日本人女性から「さっき、そこで、あきらかに20代のラテン系の男の子に、お茶しませんかって声かけられた」と聞かされたこともあります。決して自慢ではなく、本当に戸惑っているようでした。

つまり、日本人女性は、モテる、モテない、は別にして、とにかくよく声をかけらる、ということです。この街では。でもね、これはある意味、人種的な差別かもしれない、と思うのです。 理由は、ナンパであれ、そのナンパにもならない声がけ、であれ、必ずセットでくっついてくる言葉があるからです。それは、「かわいいね、君、日本人?」とか、「ヒュー(口笛)、ニーハオマー!」とか。つまり、「あなたは日本人(もしくはアジア人)でしょ」という確認事項。

アジア人は気軽に声をかけやすい、ということなのでしょうか。まさか、いまどき80年代に言われていた「イエローキャブ」という日本人女性差別言葉が頭にあるニューヨーカーは、この2019年にいないとは思います。でも、アジア人女性は、ナンパにひっかかりやすい、と思われているのかなぁと、いまだに思ったりもするのです。いや、今の時代、そうは思われていないのかもしれない。でも、どちらにしても、アジア人の女性に対してのねじ曲げられた先入観を持っているニューヨーカーは少なくないのかもしれません。

というのは、いまだに街角に置いてあるフリーのニュースペーパーであれ、ニューヨーカー対象の下品なネット上の掲示板であれ、風俗サービスの広告の多くの写真は、「異常なくらいでっかいおっぱいの白人」か、「異常なくらいでっかいお尻の黒人」か、「スレンダーな髪の長いアジア人」。だいたいこの3パターンで占められているからです。で、その中でも3番目の「スレンダーな髪の長いアジア人」が絶対数的にいちばん多い気がします。

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