日本にいたら生涯気づかなかった「ナンパ」を語る女性への偏見

 

アジア人女性は、従順なイメージ。お願い事は、黙ってなんでも聞いてくれる、と思われているのかもしれません。2019年の今ですら、それらの広告を見て、僕はそう思ってしまうのです。考えすぎかな。ACTUAL PHOTO!(実物!)と書かれている、日本の有名タレントさんの(あきらかに雑誌から抜き取った)水着写真の横に、卑猥なキャッチフレーズと、サービスの料金設定。 “SACHIKOはあなたの言うことをなんでも聞きます、ご主人さま、どうぞお申し付けください”と書かれていても、写真の時点で嘘なのだから、謳い文句も、料金設定も嘘に決まっている。これを見て、「えええ!!小池栄子が200ドルでなんでもしてくれるの!?」とは絶対、思わないって。

もちろん、全員が全員ではありません。でも、総合的に見て、アジア人女性をセックスの対象と見ているニューヨーカーは、少なからずいます。パーセンテージはいちばん多いかもしれません。 でもね、そうは言っても、昔、僕自身の中にも、日本人女性に対してのあきからに間違っている偏見がありました。

今から10年ほど前のことです。路上でやたら声をかけられる、と迷惑そうな顔をする、うちの女性スタッフに「おまえ、本当は自慢したいだけなんじゃないの?」と無神経な言葉を放った時がありました。「だって、痴漢ならともかく、声かけられるだけなら、被害はないだろ。魅力的に思われてるってことじゃん。嫌な気はしないだろ」と。彼女はちょっと怒った顔をして「いやらしい言葉をかけられて喜ぶ女性なんて、社長の大好きなエロ動画の登場人物しかいませんよ」と返してきました。

そういうもんなのかなぁと思っていた、ある日。夜のヘラルドスクエアを歩いていた時のこと。今でこそ、めっきり減ったけれど、当時はまだチラホラと目にしたエッチビデオ専門店の前を通った際でした。店内から店員であろうアラブ系の男性が、ニヤニヤと笑いながら、こっちを手招きしてきます。 ん?と思った僕は特に深く考えず、彼の方に歩み寄りました。「いいもんあるんだよ、こっちこいよ」と店内に通されます。気のいい30歳くらいのお兄ちゃんの笑顔に危険を感じなかった僕は、「すっごい裏ビデオ」でもあるのかと思い(こっちは基本、すべて無修正の裏ビデオだけれど)言われるままに店内に入りました。

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