日本にいたら生涯気づかなかった「ナンパ」を語る女性への偏見

 

こっち、こっち、とニヤニヤしながら、彼は店のいちばん奥のカーテンで仕切られた試着室ほどの小部屋に僕を手招きます。「すっごい裏ビデオ」を期待した僕は、彼に負けないくらいのニヤニヤ顏で、その小部屋の入り口まで行き、中を覗きました。中には何もないただの空間
不思議な顔をする僕に、彼は20ドル札を2枚渡しながら、「Show me your D●●K」と言ってきました。……ん?最初は何を言ってるかすぐにはわかりませんでした。え?という顔の僕に、もう一度、同じセリフ「あそこ、見せて」と言いながら、40ドルを僕の手に握らせます。2枚の20ドル札を見つめながら、時間が止まり、頭の中で、彼の今言ったセリフを反芻します。「……あそこ…みせて……?…誰の?」

まったく予想すらしなかったセリフの意味を脳内で確認し、彼の顔を見る。あきらかにハァハァ鼻息が荒くなっている。コーフンでかすれ気味に、もう一度同じセリフを言われた時点で、2枚の20ドル札を彼に突き返し、混乱する頭の中で、なんとか出てきたセリフ「It’s too small to show you!」を言い放ち、逃げるように、店外へ。足早にその場を立ち去りました。

当時30代半ばだった男の僕でもショックでした(笑)北風の中、なにか、傷ついたまま、帰路についたことを覚えています(笑)。その事件で、僕の中の日本人女性への偏見は見事、払拭されました。いくら、こっちに好意を思っていたとしても。

エロいセリフや、下品なセリフで喜ぶ人間なんて、男女問わず、いるわきゃない。自身に言われて、初めて気がついたのでした。これも、日本にいるだけでは、生涯気がつかなかった間違い、だったかもしれません(という強引な締めくくり)。 それより、なにより、このコラム全体がセクハラになっているような気がして、訴えられないか、気が気じゃない。

image by: Shutterstock.com

高橋克明この著者の記事一覧

全米発刊邦字紙「NEWYORK BIZ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ1000人のインタビュー記事を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる。初の著書『武器は走りながら拾え!』が2019年11月11日に発売。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明 』

【著者】 高橋克明 【月額】 初月無料!月額586円(税込) 【発行周期】 毎週水曜日

print
いま読まれてます

  • 日本にいたら生涯気づかなかった「ナンパ」を語る女性への偏見
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け