当日は私も朴斗鎮先生とコメンテーターとして出席したが、太さんの話に聴衆(60人限定)は食い入るように聞き入っていた。特に、北朝鮮の対日外交で前面に出てくる宋日昊・日朝正常化担当大使を「保衛省出身」と発言したことに会場はどよめいたが、宋日昊は保衛省出身ではない、ということが後になって明らかにされた。 また、拉致問題の解決に「小泉純一郎氏を最後の切り札・交渉役に仕立てたらいい」と言う発言にも関心が集まったが、太さんがどれだけ拉致問題に関心と情報などがあるのか、不透明である。
私は以前、会ったときに、太さんに「日本人拉致についてどれだけご存じですか?」と質したときに、「平壌で知人と管理する招待所で、“あの女性は日本人です”と知人が話したことがある。後ろ姿だけだったので顔は見ていない」とのこと。 太さん自身が日本語版の「日本語訳にあたり」であったか、自分自身は拉致について「知っていることは乏しい」と言うようなことを述べているので、今回の「小泉純一郎を交渉役に」という発言も、講演会に合わせて話されたのだろうか。私が太さんに「ところで太先生、日本人で知っている方は誰ですか?」と質すと、「尾上健一」(※チュチェ思想国際研究所事務局長)とすぐに答えてくれた。
尾上健一なる人物を知っているのは、私らのような年配者か(娘は知らなかったが)それとも朝鮮総連系の人物だけであろう。私は密かに「金丸信」と答えることを期待していたが、外れた。尾上健一とすぐ答える程度の古い時代の日本しか理解していなかったのだろうか。一部には「賞味期限が切れた」という人もおり、いまさら彼から聞き出すのはない、だから韓国政府は彼の出国を認めたのだと。そして、あわよくば彼が日本でテロにあったら、韓国の文在寅と金正恩は「大喜びをするだろう」と。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)
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