プラスチック使い捨て大国ニッポン。「汚名」は返上できるのか?

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海洋生物の体内から大量のマイクロプラスチックが発見されるなど、プラスチックごみによる環境破壊が深刻なレベルとなっています。プラスチック消費大国であり、プラスチック使い捨て大国でもある日本ですが、世界的な趨勢を受け脱プラの流れを加速させる企業も増加しています。ライターの本郷香奈さんは今回、ユニリーバ・ジャパンをはじめそんな方向に舵を切った企業とその試みの内容を紹介しています。

脱プラの動き加速 日本の企業も様々な取り組みに着手

日本が初の議長国となり6月末に開かれたG20大阪サミットではプラスチックごみプラごみの削減対策が議題になった。廃棄されたプラスチックが川や海に流れ込み、生態系に深刻な影響を及ぼしており、いま対策を打たなければ将来にわたって地球環境に禍根を残すことが懸念されるからだ。

世界では年間900万トンのプラごみが新たに海洋に流入し、既に世界の海に存在していると言われるプラごみは合計で1億5,000万トンに上る。このままのペースでいくと、2050年には海洋中に存在するプラスチックの量が魚の量を超えるという試算もあるほどだ。

こうした現状への危機感から、世界では多くの企業がプラごみ対策に取り組み始めている。そのひとつ日用品大手のユニリーバ・ジャパン(高橋康巳社長兼CEO)はこのほど、日本における野心的な取り組みを打ち出した。

ユニリーバ・ジャパン 高橋康巳社長

ユニリーバ・ジャパン 高橋康巳社長

同社が発表した「ユニリーバ・サスティナブル・リビング・プラン」の新計画によると、2019年下期に発売する3ブランドの新製品から再生プラスチックを最大95%使用したパッケージを採用する。

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具体的には、シャンプーなどで知られる「LUX」「Dove」「CLEAR」の主要ブランドから着手し、2020年末までにPET素材のボトルを100%再生プラスチックに切り替えることを目指す。この結果、飲料用ペットボトル換算で年間5,200万本分のプラスチックを資源として活用し、原油を使った時と比べてCO2排出量もオリンピックプール1,100個分に相当する1,300トンが削減できるという。

グローバル企業であるユニリーバは、世界190か国で毎日25億人がなんらかの製品を使っている。高橋康巳社長は「プラスチックがごみにならない世界を目指す」と意気込む。

ユニリーバはこれまでも、環境負荷を減らすための様々な取り組みを実施してきた。2010年にはサステナブル・リビング・プランを導入。さらに、17年には25年までの新たな目標を設定し、そして今回の新計画に至る。より包括的で多角的なアプローチをとったのが特徴だ。柱は従来もそうだったが、プラスチックの使用量を減らす「レス・プラスチック」(Less plastic)、そしてプラスチックをリサイクルしやすい素材などに替えて循環利用できるようにする「ベター・プラスチック」(Better Plastic)、さらにプラスチックを使用しないようにする「ノー・プラスチック」(No Plastic)だ。今回打ち出した取り組みは「ベター・プラスチックに注力したものといえる。高橋社長は「日本は詰め替え容器がどこの国よりも多く、進んでいた面はあるが、循環型社会に切り替わるためにベター・プラスチックへの取り組みができないかをずっと考えていた」と話す。

原料としての再生プラスチックは、当面3年間の確保は保障されているという。製造に若干のコストはかかるものの、やらなければいけないという認識がユニリーバ全体にあるという。

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