この難問の解決は、外交と国内問題のツートラックで解かなければならないと梁三承さんは考えている。
1960年代のキューバミサイル危機をみてみよう。 当時アメリカとソ連がただちに核戦争でも起るかのように一触即発の状況だった。その一方でケネディ大統領は水面下で自分の弟をソ連に送りソ連と交渉させた。ソ連からキューバミサイル基地の撤収の約束を得るや、米国はトルコのミサイル基地を撤収させた。外交とはそういうものだ。
今度は我々韓国が先に譲歩しなければならない。韓国が10の損をして日本は5程度損をした後、受け入れられれば、次は韓国が5の損をして日本が10損するというように。お互いに気持ちを和らげながら、一段階一段階解いていかなければならない。
内部的には韓国政府が被害者を尋ねて十分に補償しなければならない。被害者らは「金がほしいのではなく日本の謝罪がほしいだけだ」としながらも、大法院の判決を土台として強制執行に乗り出そうとするだろう(すでにそうやっているけれども)。そのときは、韓国政府は「皆さんの気持ちはわかる。本当にすまない。私たちも謝罪してもらいたい。しかし現実的に難しい部分も理解してくれ。私たちがまず最初に補償するからこれで気持ちを落ち着けてくれ。我々が必ず日本政府を説得し解決していく」となだめるべきだ。そのように国内問題を解決していけば、日本も韓国側の誠意を見て努力するだろう。その道しかない。
韓国政府は最近「義兵」だの「チュクチャンガ(竹槍歌)」などの単語を用いながら反日、抗日に乗り出すことを促しているが、これは非常に遺憾だ。下手中の下手、最も低級だ。一部の国民は痛快だろうが、国政運営では一番低劣なやりかただ。そんな方向で押し進めては実効もない。
韓国の中で日本商品不買運動が広がっているが、これもいいとは言えない。気分は晴れるかもしれないが、実際に日本に及ぼす経済的打撃は微々たるものだ。韓国で日本ビールを飲まずユニクロで買わなかったら、本当に日本経済が苦しくなるだろうか。反対に日本から同じ方法でやられれば、韓国が受けるダメージ(不利益と損害)の方がはるかに大きい。
強気だけの姿勢は、韓国にとってはいい結果をもたらさない。韓国が先に譲歩しなければならない。梁三承さんはそう考えている。鬼の首でも取ったように日本製品不買、不買と叫んでいる人々の陰にはこういう落ち着いた考えをもつ韓国の人もいるということを、日本の我々は忘れてはならない。
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