企業主導型に助成金バラマキの実態
【東京】は1面トップと25面社会面で、企業主導型保育事業にまつわる問題を大きく取り上げている。見出しには「企業型保育事業 個別助成額 把握せず」「内閣府『委託先が確認』」(以上、1面)、「委託先『数こなす』優先」「50人で4,800件審査」「コンサル男性『ばらまきに近い』」(以上、25面)。
政府が待機児童対策の目玉として導入した「企業主導型保育事業」を所管する内閣府が、予算額2,000億円に上る助成金をどの事業者にいくら支出したのか、基本的な情報さえ把握していないことが判明した。東京新聞の資料開示要求に対して「作成・取得しておらず、保有していない」ことを理由に「不開示」としたからだ。では、実務を担っているところはどうか。保育所を開く事業者の審査や助成金額の決定、支給などの実務は、公益財団法人「児童育成協会」が委託を受けてやっている。ところが、ここもホームページ上で16、17年度の助成先の名は公開しているだけで、それぞれへの助成額は記載していない。この「企業主導型」を巡っては、ずさんな計画で開所できていないケースや助成金を狙った詐欺事件まで起きているというのに…。
児童育成協会での業務の実態はどうなのか。
《東京》の取材によれば、審査にあたっているのは多くが専門知識のある職員ではなく、「数をこなすのが大命題」という状態で、2018年度は、50人で4,800件を審査したのだという。基本的には書類審査のみで、その結果、保育実績のない人も続々参入。あるコンサルタントは「審査していないのと同じ。バラマキに近かった」と語っている。
企業主導型保育事業の予算は、毎年消化されていないのに年々増額され、本年度は初年度の2.5倍。安倍政権が2020年度末までに待機児童ゼロを掲げて企業型の整備目標を高めてきたことが背景にあるという。会計検査院は「助成金審査が不十分」として、内閣府に改善を求めている。「企業型」に注力すること自体の問題が、今後クローズアップされていくだろう。
あとがき
以上、いかがでしたでしょうか。
人権を侵害しつつ就活生を食い物にする企業、留学生の足下を見てタダ働きを強いる企業、日本企業が磨き上げてきた血と汗の結晶ともいうべき知的財産を掠め取ろうとする巨大IT企業、そして待機児童ゼロ目標に隠れて助成金を野放図にばらまく内閣府、安倍政権と、その助成金に群がる魑魅魍魎。「労働」の周辺には怪しい物の怪たちが跳梁跋扈しているようです。
というところできょうはここまで。
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