読売が報じた信じがたい事件。労働現場で今、何が起きているのか

 

留学生を陥れる罠

【読売】は29面社会面で、留学生の労働に関する信じ難い事件を報じている。見出しは「留学生の労働超過 偽装」「『ボランティア』扱い」「川崎の介護設」「労基署が是正勧告」「日本語学校と「結託」」とある。

川崎市の介護施設(グループホーム)が、フィリピン人の留学生の女性(20歳代)に法律上の労働時間の上限(週28時間)を超えて働かせながら、超過分を「ボランティアと偽装して賃金を払わなかったとして労基署が労基法違反で是正勧告を行った、という事件。事件が発覚したのは、この女性を含むフィリピン人留学生4人からNPO法人「POSSE(ポッセ)」が相談を受けたことがきっかけ。4人は、フィリピンの仲介業者からまず問題の介護施設運営会社を紹介されその後同社から日本語学校を紹介されたという。最初の半年間、賃金から学費が天引きされていたという。

「ボランティア」としてタダ働きを強いられ、会社を辞めれば学籍も奪われて在留できなくなるという形になっている。留学生たちは罠にはまったようなもので、企業と日本語学校がグルになって留学生たちに違法労働を強いるシステムができあがっていたようだ。「POSSE」によれば、入学時の誓約で、指定されたアルバイト先以外で働くことを禁じている例もあったという。

無理難題を押し通すアップル

【毎日】は1面トップと7面の経済面で、アップルによる独禁法違反の疑い事例について書いている。見出しは「アップル 知財無償で契約」「対日本企業 公取委が調査」「取引解消ちらつかせ」(以上、1面)、「知財吸い上げに不満「『アップルに折れた』」「日本企業 政府、巨大IT規制急ぐ」(以上、7面)。

この件も【セブンNEWS】7項目目の再掲から。

米アップルは、取引先日本企業との間で部品製造に必要な技術や知識を無償提供させる契約を結んでいた。日本企業が契約修正を求めると、取引関係解消を持ち出して押し通したケースもあり、契約を押しつける行為が独禁法違反に当たるか、公取委は精査へ。

米中貿易摩擦のなかで、アメリカ側がしばしば主張しているのが、中国による「強制的な技術移転」、「知的財産権の『窃盗』」というようなこと。何のことはない、米国を本拠とするアップルも、中国に学んで阿漕な商売をやっていたではないか、と言いたくなる事案。アップルが「優越的な地位」を乱用して独禁法に違反しているかどうかを公取委は判断するというのだが、通常は大企業と下請け中小企業との間で問題になる「優越的な地位の乱用」を、超巨大ITと国内大企業の間でも適用する方向に公取委は大きくかじを切った模様だ。たとえ国内の大企業であっても、スマホの国内シェア1位の世界企業からの要求を受け流せるところはないだろうというのが判断の理由だという。

政府は来年の通常国会に「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法案」を提出予定で、巨大ITには取引条件の開示を義務付けるなど、規制整備を進めていこうとしている。

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