見えにくい本気度。米が「有志連合」という言葉すら使わない現実

 

既に失敗?

毎日】は1面左肩と6面関連記事。見出しは「有志連合 米が協力要請」「防衛相『総合的に判断』」(以上、1面)、「有志連合 見えぬ全容」「ホルムズ海峡 政府、参加なお慎重」(以上、6面)。

見出しに「有志連合」という言葉が入っているが、外務省幹部は「米国はもう有志連合という言葉は使っていない」と言っていることを紹介している。見出しに入れたのは、読者のためのインデックスということだろうか。米国の変化については、各国に参加を強く迫っていたのが、今や「各国に自由参加を求めている」とされ、回答期限もとくに設けられていないという。外務省からすれば、「日本の役割がなんなのかハッキリしない」ということになるか。因みに、エスパー新国防相が参加を要請したオーストラリアは結論を先送りにしドイツは不参加の意向を表明した。

もう、まるでダメダメのグスグスの構想になってしまったという印象の記事。トランプ氏の大統領再選計画の一部で、イランへの強硬姿勢を取ったところまではよかったが、英国しか付いてこないことになり、大失敗に終わった…そんな評価が可能なのかもしれない。

調査捕鯨ならぬ調査警戒?

東京】は2面の解説記事「核心」にまとめている。見出しは「有志連合参加 悩む日本」「米イランに配慮■現行法適用は困難」「日米防衛相会談 回答留保」。

岩屋防衛相が回答を留保したのは、有志連合への参加には外交法律の両面で問題があり即断できないからだ、とする。

他紙が米国の本音に疑問を突きつける形の記事になっているのに対して、《東京》は有志連合の構想に参加乃至同調していく場合に発生する問題、とりわけ法律上の問題を丁寧に吟味する記事になっている。

2015年成立の安保関連法では自衛隊による米軍支援の幅は広がったが、実際に国際紛争が起きることが多くの場合に前提となっている。現在、戦闘は起きておらず、「小康状態」なので適用できない。また、海賊対処法を適用して派遣すると活動は海賊対策に限られ、自衛隊法に基づく海上警備行動では他国の船舶を防護することができない。そこで、浮上しているのが、防衛省設置法による「調査・研究名目での警戒監視活動。これは2001年の米中枢同時多発テロ直後に、在日米軍基地からペルシャ湾に向かう米艦を海自が日本近海で護衛した際に使われた理屈だというが、防衛省の組織について定めた法律を使って自衛隊を実任務に送り出すことには批判があるだろうという。

あとがき

以上、いかがでしたでしょうか。

少なくとも、事の発端はトランプ米大統領がイラン核合意を一方的に離脱したことだった…この事実は忘れないでいたいものです。

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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