疑惑だらけ富豪エプスタイン事件。不自然な「自殺監視」解除の謎

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児童買春容疑等で起訴され、トランプ大統領との親しい関係も注目されていたジェフリー・エプスタイン被告が連邦拘置所内で死亡し、米国内は大騒ぎとなっています。米国在住の作家・冷泉彰彦さんは、逮捕時にこの問題を詳しく解説した際、「闇が深すぎるので、拘置所で保護しておいた方が良い」と語っていて、危惧が現実となってしまいました。冷泉さんは、自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で、いま一度エプスタイン被告に関する疑惑をわかり易く整理しています。

エプスタインの死と消えない疑惑

著名ファンドマネジャーで億万長者、そして、若い女性に対する人身売買や性的虐待の疑惑で逮捕されていたジェフリー・エプスタイン(66歳)が死亡しました。エプスタインについては、必死になって保釈を求めていた一方で、保釈されることによる「危険」が指摘されていました。

にも関わらず、今回、NYの連邦拘置所という「未決囚を入れる施設としては、全米で最高レベルのセキュリティ管理」がされている施設に入れられながら、結果的には「自殺監視の対象外」となっていたことで、首を吊って死んでいるのを発見されたのです。

アメリカ中がこの件で大騒ぎとなっており、特に、ネットの世界では陰謀説が飛び交っています。エプスタインをめぐる疑惑ですが、簡単に整理すると次のような内容です。

1)ニューヨークのマンハッタンに持っている豪華コンドミニアムとか、カリブ海に保有している個人所有の島の豪邸、あるいはフロリダのリゾートを舞台に、何年にもわたり数十人の若い女性に対して性的虐待を繰り返していた。

2)虐待目的で多くの若い女性(14歳を含む)のトラフィッキング(人身売買)に関与していた。

3)トランプと極めて親しかったらしく、特に有名な、フロリダのマー・ア・ラゴを性的虐待の舞台にしていた可能性が指摘されている。また、トランプと「2人だけで大勢の女性を侍らせたパーティー」を行なっていた疑惑もある。

4)2007年にエプスタインが起訴されそうになった際に検事と「秘密の司法取引」を行って罪を免れた、その当時の検察官の一人、アレクサンダー・アコスタという人物を、トランプ政権は労働長官に採用している。アコスタについては、のちに経緯がバレて更迭。

5)エプスタインは、ビル・クリントンとも親しかったという可能性。

6)法廷にエプスタインが「未成年者を含む若い女性を紹介」したという「紳士のリスト」が提出される直前であったという問題。一説によれば、その「リスト」は、英国のアンドリュー王子を含む超VIPが含まれていたという噂

いずれにしても、こうした疑惑の中で、エプスタインは死亡しました。しかも、不自然な形で「自殺監視」を解除された中で首を吊っていたのです。尚、バー司法長官は、真相究明を継続するとしています。続報が待たれます。

image by: State of Florida [Public domain], via Wikimedia Commons, Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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