現役医師が解説する最新の研究結果、自閉症と加工食品の関係

 

妊婦さんへの推奨

そんななか、アメリカ・フロリダ州のセントラル・フロリダ大学の研究者が最近発した研究結果によって、世界が衝撃を受けることになりました。ヒトの神経幹細胞を1年半にわたり大量のプロピオン酸に曝露するという実験を行なった結果、プロピオン酸は脳細胞を損傷することが示唆されたのです。それだけでなく、神経細胞が減少し、その一方でグリア細胞が過剰に生成され、脳内のバランスが崩れたのでした。妊婦や母親がプロピオン酸を摂ると胎児や乳児の腸内に蓄積します。

過剰なグリア細胞は神経細胞同士のつながりであるシナプスの伝達を阻害するようになります。また、グリア細胞が脳に炎症も引き起こすこともあるのです。これらの脳変化によって、コミュニケーションする能力が侵され、自閉症の子に見られることが多い行動が引き起こされる可能性があります。

今回の結果で断定することはできませんが、腸内環境を乱す物質が自閉症のリスクを高める可能性はあると私は考えます。プロピオン酸は、食品の保存性を高めるので、防カビ効果で加工食品に添加物として使用されています。現時点ではまだ不確定要素が大きいですので断言することはできません。しかし、常に安全サイドを取るべきとする原則からいうと、妊婦さんにはなるべく加工食品は摂らないように、と現時点ではアドバイスをしたいと思います。

文献:
Abdelli LS, et al. Propionic Acid Induces Gliosis and Neuro-inflammation through Modulation of PTEN/AKT Pathway in Autism Spectrum Disorder. Sci Rep. 2019 Jun 19;9(1):8824.

image by: Shutterstock.com

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