スマホ検索などによる情報収集能力が高まったお客さんが増える昨今、商品知識を披露するだけでは彼らの注意を惹きつけることができなくなってきているようです。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、販売トークや店内アナウンスに慣れきったお客さんにも興味を持って貰えるであろう、「ある手法」を紹介しています。
あえて聞いてもらうために
つい先日のことです。妻と一緒に、久々にある場所のユニクロへ行ってみました。そこで、色々と商品を見ていると、店内のアナウンスが流れていたのですね。
そのアナウンスがとても面白いものでした。どう面白いのかと言いますと、「ほん!本日は、ユニクロにご来店いただき~」みたいなアナウンスだったのです。文字にするとわかりにくいと思いますが、冒頭の「ほん!」というのは、明らかに噛んでいたのです。芸人さんがよく言っているような、噛むという意味ですね。
2種類のアナウンスが流れていたのですが、どちらとも冒頭は噛んでいました。これに最初は、「緊張しているのかなー」とか思っていたのですが、しばらく滞在している内に、違うということに気づきました。この噛むという仕草、わざとやっているのです。
その後のアナウンスを聞いていたのですが、明らかにプロっぽい声で、流暢なアナウンスが流れてきていました。何より、滞在していると、また全く同じアナウンスが流れてきます。つまり、録音した音声を流しているわけです。
これに気づいた時に、「すごいことするな」と感心させられました。
録音である以上、そして、どうも慣れている人が録音している以上、何度も録り直しは可能ですし、ミスもなくすことができます。最初に噛んだのなら、すぐに録り直して、またやり直すことはできるわけです。しかし、それをあえてやらずに、噛んだまま録音していることで、どうなるか。
思わず、聞いてしまうのです。
最初に聞いた時には、つい、「噛んでるな」と笑ってしまいました。しかし、それで耳に残ってしまって、商品を見ながらも、そのアナウンスをずっと聞いてしまっていたのですね。
その後、もう1種類のアナウンスが流れた時も、やはり同じように噛んでているので、また笑ってしまいながらも、ついつい気づけばアナウンスを聞いてしまっています。完全にしてやられたわけです。
アナウンスや声出しなど、お客様に聞いてもらうために流すこと、声を出すことはあります。ですが、そもそも論として、これらは、お客様が聞いてくれなければ意味を成しません。そのために、いろんな文言を考えるのですが、こうして、わざと噛んで耳に残すというのが効果的だとは思いもしませんでした。
あえて、聞いてもらうためのミスを盛り込むという、ものすごく計算されたテクニックです。
簡単に真似ができるものではないかもしれませんが、あえて聞いてもらうために、たどたどしくしてみるとか、ミスをするとか、やりようはいくらでも考えられます。何事も綺麗に正しくやるだけが正解ではないということを、学ばされました。どこかで参考にしてみたいと思います。
今日の質問です。
- つい耳に残ってしまったり、つい気になってしまうようなミスにはどんなものがありますか?音声や映像、文章など、探してみましょう
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