なぜ、「ズボン」と言う客に「パンツ」で返してはいけないのか

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悪気は決してないのに、お客様に不快な思いを抱かせてしまう…。そんな接客行為の1つに、「言葉の訂正」があります。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では、著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、ご自身の過去の失敗例をあげつつ、なぜその接客が好ましくないのかを解説しています。

言葉を訂正する販売員

接客販売に限らず、物を売る仕事の場合、商品知識を増やすことは、とても良いことです。ただ、人というのは面白いもので、覚えた商品知識を披露したいがために接客をしてしまう人もいます。特に、販売を始めたばかりの頃に多いのですが、これはお客様にとって、非常に厄介な販売員になってしまいます。

白状すると、私もそんな時期がありました。15年ほど前に、洋服の販売の仕事を始めた頃、それはもう、毎日新しく得られる知識が面白くて面白くて、商品知識を得るために必死に勉強していました。

「この部分は、ゴージって言うんだな」
「ズボンじゃなくて、パンツって呼ぶんだな」

メンズの洋服だったため、そういったウンチク的な知識もたくさん必要だと思い、それはもう勉強に励んだものです。

しかし、自分が楽しむ分には良いのですが、お客様に、それを披露し出したことがありました。もちろん、商品知識を持って、お客様に適切な情報を伝えるのには、非常に良かったのですが、時として、お客様のことを考えずに話をしてしまっていたことがあります。

その最たる状況が、「お客様の言葉を勝手に言い換えてしまっていた」ことです。目の前のお客様が、「ズボンを探していて」と言っているのに、「パンツをお探しなんですね」。「って扱い難しいよね」と言っているのに、「レザーは確かにそうですね」、みたいな。他にも、知識として仕入れた情報を、さも自分の方が知識があるかのように見せたくて、言い換えてしまっていたわけです。

ですが、お客様からすれば、それは、「知識のある販売員に接客されたから嬉しい」というよりも、「いちいち自分の言葉を訂正してくるやつ」にしか見えません。極端な話、バカにされているような気になるお客様だっていることでしょう。それくらい、お客様の気持ちを考えていない行動だったのです。

お客様の気持ちを考えるなら、「ズボンを探している」と話してくれるお客様なら、「ズボンをお探しなんですね」、「革物って…」と話してくれるお客様なら、「革物はですね…」と、お客様の言葉に合わせて話をすべきでしょう。特に、専門知識の多い商品販売だと、こういう現象は起こります。

お客様が望んでいる、そういう言葉を求めているという状況なら良いのです。しかしそうではないのに、ただ自分が覚えたことを披露したくてやってしまうというのは、誰も得をしない状況になってしまいます。覚えた知識や言葉を披露したいがための会話になっていないか、常日頃から、お客様の気持ちを考えて話をしたいものです。

今日の質問です。

  • お客様が使う言葉を、専門知識や用語に言い換えてしまっていることはありませんか?
  • 自分がそうされた時には、どんな気持ちになりますか?

image by: Shutterstock.com

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【著者】 坂本りゅういち 【発行周期】 日刊

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