実際、日本で出生率トップを誇る沖縄では、まさにそういう取り組みをすることで「子供を産みたい社会」を作ってきました。
沖縄は子供の学力が全国レベルより劣っている状況を打破するために1998年から「学力向上主要施策」を策定し、2009年からは学力上位県である秋田に毎年2人ずつ教員を派遣するなど、オトナたちがあれやこれやと汗をかいてがんばってきました。
2013年には「学力向上推進室」を作り指導主事を10人体制に強化。そのうち5人が沖縄県内の公立小学校約120校を1校1校訪ねて歩き、日常の授業を見て回りました。
とにもかくにも“日常”にこだわり、授業見学の後には先生を交え1時間みっちり反省会とフィードバックを行い、意見交換と現場に生きるアドバイスを徹底。2008年度からは「おさらい教室」を開校し、子どもの貧困問題への取り組みもスタートしました。
「おさらい教室」では退職した先生たちが、放課後を利用して小学校低学年の児童を対象に復習のお手伝いをするなど学力向上に努めることで、仕事に追われるシングルマザーたちをサポート。
つまり、今いる「子供たち」と正面から向き合い、オトナと子ども、子どもと子ども、オトナとオトナがつながることで、子どもたちの学力を向上させるだけでなく、「子供を産んでもいいんだ。大丈夫なんだ」と思える女性を増やしてきたのです。
少子化問題は根が深いので今回はこのような展開になりましたが、要は「魔法の杖」はないのです。ひとつひとつ丁寧にきちんと向き合うことが結果的に少子化対策につながるということを伝えたくて書きました。
みなさんのご意見、お聞かせください。
※表記に間違いがあり、本文の一部を訂正しました。(2019年10月25日)
image by: Shutterstock.com
※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年10月9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。